変わろうとしている巨人
2015-01-23 07:28
ナデラになってからのMicrosoftには確かに変化が見られる。しかしやはり変化していない部分もある。
両方の面を見られた点において昨日の発表会は面白かった。では個別に。
マイクロソフトが開催中のWindows 10 メディアブリーフィングより。マイクロソフトはWindows 10のリリースから1年間は、Windows 7 / Windows 8.1 / Windows Phone 8.1から無料でアップグレードできるようにすることを明らかにしました。
引用元:速報:Windows 10は無料でWindows 7 / 8.1からアップグレード可能。リリースから1年間限定、Windows Phone 8.1も対象 - Engadget Japanese
今回は限られた記者を相手に発表しているので会場の反応が薄いのはしょうがない。しかしこの「無料化」を発表した時の演出の下手さは爆笑ものだった。「Windows10が発表されてから一年は」というセリフを3回も繰り返し、対象となるバージョンを、、まあいいや。あといつもでてくる小柄な人のコルタナとのかけあい、あれ面白いと思ってんのか?
とはいえ多くのメディアがスルーしている
「これから数年、Windowsは世界でもっとも普及しているインターネットサービスになる」
という概念は面白いと思う。インターネットサービスで「どのバージョンをお使いですか」と聞く人はいない。最新のバージョンが当たり前だというわけだ。
しかし
多分ほとんどの人はその「恩恵」を受けられないのではないか。例えばこうだ。今会社から支給されているのはMac Book。しかしその上で動いているのはYosemiteではなくMarvericksだ。いつもMac Bookは「無料でYosemiteが」と言ってくる。しかし特にMicrosoftが得意とするエンタープライズ分野ではそんなことは関係ない。「情報システム部門」がお墨付きを出すまではアップグレードができないのだ。
それが「たった1年」で可能か?と言われればまあ無理だろうなと思う。情報システム部門とは「仕事を早くやる」部門ではなく「責任を回避する」部門だ。ああ、バカバカしい。
次にはこのホロなんとか。チャレンジ精神はすばらしいと思う。Microsoft Researchの膨大な研究成果がこの製品に!
問題は
こうした機器が常にひっかかってきた
「で何に使うの?」
に答えられていない、という点。それがない限り普及はせんよ。デモではなんだか
「空間上で、クアッドコプターを作る」
というのをやっていた。ものすごい技術があれこれ使われていることはわかる。しかし見ている間じゅう
「これ、iPad上でやればもっと簡単なのにな」
と思っていた。だって結局見ているのは2次元の平面だもん。iPadでやれば信頼性のない「空間内でのジェスチャ認識」なんかやる必要ないし。
何度も書いてきたことだが「重要なのはアプリケーション」であり、Microsoftはその問いに対して答えていない。
もう一つ彼らが答えなくてはいけない問いがある。
IT関係者のMac使用率が高いことは今に始まったことではないものの、たしかに写真で確認できる限り、ほとんどの記者がMacを使用していることが確認できます。Microsoftのタブレット端末「Surface」シリーズを使用している記者が若干名、といったところでしょうか。
情報元のiMoreによれば、このような状況は数年前から継続中とのことですが、Microsoft(特に発表者)としては発表会当日のこの状況は非常にショックだったでしょうね。
「安くする」のは話の半分以下でしかない。Surface Pro3はMac Bookよりこんなにいい!とどれだけMicrosoftが大声で主張しようが、現実は厳しい。発表会の記者席には多くのリンゴマークが光っているのだ。
この問いに答えてもいいし、無視して「Microsoftはエンタープライズ専用システムです!」と宣言してもよい。MicrosoftはProductivityの会社だと宣言したのだから、後者でいいと思うのだけどね。
「個人はいやがってるけど、情シス部門には大モテのMicrosoft!」
ってことで。