静かに/ひそやかに

2015-02-20 07:15

「なんだこれは」と思う記事に出会うとそれを某tumblerに蓄えるようにした。何かいうのもバカバカしい記事を見つけた時、そうやってゴミ箱に放り込むのがとても精神衛生上よろしい。

そうして気がついたのだが、SONYを持ち上げる「専門家」というのはずいぶんたくさんいるのだな。状況が状況だから仕方がないのかもしれないが、SONYを持ち上げようと思うと「長々とわけのわからないことを書く」ことを余儀なくされる。

今のソニーに必要なのは、新たな事業のリスクを取るために必要な、前段階の収益の安定化であり、将来に「あっと驚かせる商品」を出すためにも、中期経営方針は「あっと驚くほど驚きのない(ソニーフリーク的に)」ものであるべきと考えていたからだ。

引用元:地味さが冴えたソニーの中期経営方針:日経ビジネスオンライン

この記事はWeb上で8ページにもわたる。こんな調子で続く「ソニー賛歌」を読む必要はないがそこから「読み取れる」ものがある。つまり理由はわからないが、メディアにはソニーを持ち上げる必要性が(それがなんであれ)存在しているということだ。

たとえばAudio Visual界ではまだソニーのご威光が存在するらしい。

 静かな環境下で聴き比べれば、大半の人が瞬時にわかるレベルの違いがある。個人的には、オーディオ機器の電源ケーブルを交換した時の変化に近いものを感じた。また、他社のハイレゾプレーヤーである「AK240」でもカードを差し替えて試したが、同傾向の音の変化を実感できた。

引用元:ソニー、音質にこだわったmicroSDXCカード。「ハイレゾウォークマンに最適」 - AV Watch

あーあ、断言しちゃったよ。でもまああれだ。電車の中で「聖教新聞」を読んでいる人を見るたび思う。何を読もうと、それを真面目に受け取ろうと(よほどひどくない限り)個人の自由ではないか。おそらくAV Watchに魂の安らぎを感じる人は一定数存在しており、それゆえ存在している会社もあるのだ。

一方「ジャーナリストの魂」をもった記者もいる。

一般的な64GBのmicroSDカードが4,000円前後であることを考えると、本製品は約5倍に相当する価格なわけで、プレミアム感によるプラシーボ効果は決して少なくない。しかし、筆者はプラシーボ効果を否定するつもりはないし、先の解説の通り、ソニーによる技術的な裏付けもされているため、ちゃんとした存在意義があると思う。音にこだわるユーザーにおすすめしたい。

引用元:ソニー、“音質にこだわった”microSDカード ~技術面と品質管理からアプローチ - PC Watch

見事なプロ根性である。プラセボ効果を感じさせ、それで5倍の売価を達成できるならそれにちゃんと存在意義があるではないか。

ソニーの新しい経営方針では、オーディオは「安定的に頑張ってね」領域とのこと。こうやってプラセボ効果に安らぎを見出す人から金を吸い取り続けるのだろう。しかしその「投資先」がイメージセンサーデバイスはいいとして、音楽に映画とは。今ソニーを持ち上げている先生方もどこかでそっと

「筆者は以前よりソニーの高株価に潜む危険性を指摘してきた」

というのだろうか。あるいはそうした「変わり身」を必要としないくらいソニーは密やかに消えていくのかもしれない。