Spring Forward Keynote
2015-03-11 08:11
ほとんど誰もが予想しなかったと思うが、Apple TVがKeynoteの頭のほうで登場した。内容はHBOの追加と「値下げ」だった。
Tim Cookは何度かこのフレーズを繰り返した。
This is just the beginning
これはどういうことだ?
Mark Gurman talks to CNBC about Apple Watch, new MacBook and rest of yesterday’s events
Unusually good questions from CNBC and as always great insight from Mark.引用元:Mark Gurman talks to CNBC about Apple Watch, new MacBook and rest of yesterday’s events | 9to5Mac
リンク先に掲載されているCNBCのインタビューには驚いた。Mac Bookのスクープを正確にものにしたMark Gurmanのコメントももとより、「きちんとした質問」をしているCNBCの人間にはもっと驚く。日本のメディアにこんな的確な質問ができる人間が果たして存在するのだろうか?
Gurmanの予想はこうである。なぜApple TVを値下げしたのか?それは現在Apple TVが存在しているレンジ(あるいはその少し上)に何か新しい製品をリリースするためだ、というもの。つまりApple TVはAppleにとって「利益は期待しないが、AppleのTVビジネスというプラットフォームへのもっとも安い入り口」にする、ということなのかもしれない。
これはTim Cookが繰り返した前述のセリフと考え合わせると非常に興味深い。そもそもこのKeynoteでApple TVに言及したということはそれに意味がある、ということだ。間違いなくそう遠くない未来にAppleはTV関連で何かの発表をする。
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もう一点Gurmanのコメントで興味深かった点。
Research Kitはもう一つの驚きだった。iPhoneという膨大なプラットフォームを医療の研究用に提供しよう、というのだ。これは驚くべき発表であり、日本のメディアがほとんどResearch Kitをスルーしているのは信じられないような(予想通りというべきか)怠慢である。
GurmanはこのAppleと医療界の結びつきがなぜ存在するかについて「Apple Watchの健康診断センサー機能開発」があることを見て取る。WSJが報道したように、当初計画されていた健康診断用センサー機能は大部分が見送られたという。そうした機能をAppleだけで開発できるわけがない。その過程でAppleは医療界と結びつきを得たのだろう。
Research Kitの開発とその背景を考えるとき「目先の利益と売り上げ」しか眼中にない他家電メーカーとの差異に愕然となる。Appleにとっては「サムソンさん、どうぞこうした取組みをコピーしてください」ということなのだと思う。
これをGoogleがやれば絶対「Googleは一切のデータにアクセスしません」とは言えないだろう。これが言えるのはAppleがデバイスを売る企業であり、Googleのような広告業ではない、という根本的な差異に由来する。金のためなら平気で魂を売り飛ばすDeNAのような企業は論外だが。
そのような観点から私にとってはサプライズ満載のKeynoteだった。こういうことがあるからApple原理主義はやめられない。