独ソ不可侵条約の中身
2015-03-24 06:54
面白いインタビューが掲載されている。任天堂-DeNAの提携に関して両者の社長が語っているのだ。
読んでいると、この両者が「根本的な価値観」において全く相いれない存在であることがわかる。DeNAの得意技「射幸心をあおり、じゃぶじゃぶ課金」について任天堂はこう断言する。
ユーザーの行動分析・顧客動態によって運営を変化させるという手法は、これまでのソーシャルゲーム陣営の武器でもあります。やろうと思えば、より多くの課金させるよう特定ユーザーの心理を操作することもできる。分析はそういったことにも利用するのでしょうか。
岩田:それはしないですよ。そういった形で勝負しようとしているコンテンツホルダーさんもいらっしゃるかもしれないけれども、そんなことをしたら、任天堂のIPに傷がつきますし、任天堂ブランドの信頼は地に落ちますから。
一方頭のいいコンサルタントであるDeNAのコメントはこうだ。
(インタビューア)2012年に「コンプガチャ」など行き過ぎた課金手法が社会問題となりました。そこから自主規制などを進めてきました。
守安:そうですね。あの時に問題だったのは、特に未成年のところです。未成年者への課金について配慮が足りなかったというのがまず一番大きな反省点で、あとは利用者への分かりやすさや誤認の部分でも問題があったかなと思っています。
まるで悪意のある捏造を「熱意あまったがゆえのちょっとした誤解を招く表現」といい抜けるメディアの言葉を聞いているかのようだ。つまり彼らは自分たちの「生命線」が反社会的な行為だとは未だに考えていない。
こうした根本的なイデオロギーが正反対であることを理解しながら、必要であればイスラエルとアラブ諸国が手を組むのが大人の世界というもの。その「手の組み方」でも微妙でありながらおそらくは重大な齟齬がある。
任天堂岩田社長は「DeNAは黒子でもいいと言った」と繰り返し断言している。多分これは「フカし」だろうと思ったらやっぱりそうだった。
もう1つ、岩田社長は、守安さんが「黒子になっても構わない」という表現をしたことで、任天堂の取り得る戦略オプションが増えた、とも話していました。この「黒子発言」の真意をお聞かせください。
守安:僕、黒子という言葉を使ったのか、ちょっと覚えていないんですよね(笑)
つまり任天堂はDeNAという会社には何の興味もない。サービス構築の「高級SIer」あるいは「人材バンク」としか見ていない。岩田社長のインタビューをどう読んでもこの提携にDeNAからみたどんなメリットがあるのかさっぱりわからない。つまり彼はDeNAにメリットを与えるつもりがない。
そう考えるとこの「提携」の行く末は2種類しかない。任天堂はこの提携で、DeNAのノウハウを学び尽くすつもりだろう。それが終わったところで「発展解消」。もしくは任天堂がDeNAの主要部分(あるいは全体)を買収し、優秀でかつ任天堂の価値観を理解する人材を除いてリストラするか。つまり条約がどうだろうが、独ソ戦は避けられない。