野球狂の詩
2015-03-16 06:41
プロ野球のメディアに対する支配力には感嘆せざるを得ないことが多い。「球界の盟主」では暴力団から浮気で1億円恐喝された男がまだ監督をやっている。これは「他の業界」では到底考えられないことだ。
その支配力をもってすれば台湾沖航空戦を大勝利に変換することなどお茶の子ほにゃほにゃである。かくしてこういう前向きな記事がメジャーなメディアに掲載される。
勝とうとした試合で勝てなかったのも痛かった。東日本大震災からちょうど4年となり、試合前ミーティングで「何が何でも勝とう」と選手に伝えた。主将・嶋は「悔しい。昨年11月の日米野球でも勝ち越して、僕の中でも『この2試合は勝てるのでは』というスキもあった」と振り返った。
開幕前の3月という時期に代表戦ができた収穫もある。「この大会がなければミスにも気づけず、11月の『プレミア12』で出ていたはず。ヨーロッパはスイングも速いし、簡単には勝てないことも分かった。データのない投手に対しては個より線でいく必要もあるし、センターから逆方向の打撃も必要」と指揮官。チームとして成熟するためにはどうするべきかを今後、コーチ陣とも話し合う予定だ。
やる前は「誰がこんな試合みるんだ?まあ大勝だろうけど」と思っていた。ところが1戦目は逆転勝ち。2戦目は完敗である。ちなみに相手はこんな人たち。
名ばかりの「欧州代表」だから、そのメンバーも推して知るべし。イタリアリーグのボローニャでプレーするバリオ(26)はこう言った。
「ボクは普段、トレーニングジムなどで働きながら野球をしている。ボク以外にもオフの間は工場で袋づめをしている選手や建設現場で働いている選手もいる。みな、メジャーや日本ではプレーできないことは分かっている。だから、この機会に日本を楽しみたいと思って来たんだ」
こういう「情報」がメジャーなメディアで一切流れないのも問題だと思うが、より根本的な問題から目をそらしてはいけない。
日本では野球がものすごく上手ならばそれだけですべての学業及び就職が可能になる仕組みが整っている。それゆえ日本のプロ野球でプレーしているのはほぼ全員が「子供の頃から野球だけやっていた」人間たちだ。
それが「本業の片手間に野球をやっている」チームに完敗する。オリンピックで完敗したときからなんとなく思っていたが、もはや確信してもよいと思う。つまり
日本の野球ってものすごく弱い
理由はわからないがどうもこれは事実らしい。
どうも「野球」というのはガラパゴス島で全く独自の進化を遂げた「なにか」であり、BaseBall というSportsではないらしいのだ。もちろんその「なにか」にはそれ独自の価値観と仕組みがあり、その中で勝者は決まるのだがそれはBaseBallという土俵に出たとたん、簡単に寄り切られる。
まるで帝国陸軍を見ているようだ、というのは何度使った比喩だろう。帝国陸軍にも独自の価値基準があり、その中で出世する人しない人がいた。そして「精強を誇る関東軍」はこういう組織だった。
当時の関東軍の一師団に対する検閲後の講評は,「統率訓練は外面の粉飾を事として内容充実せず,上下徒に巧言令色に流れて,実戦即応の準備を欠く,その戦力は支那軍にも劣るものあり」というものであった
満州国支配機関としての関東軍はその機能をよく果たし,またその目的のためには高度に進化した組織であった.しかし統治機関として高度に適応した軍隊であるがゆえに,戦闘という軍隊本来の任務に直面し,しかも対等ないしはそれ以上の敵としてのソ連軍との戦いというまったく新しい環境に置かれたとき,関東軍の首脳部は混乱し,方向を見失って自壊作用を起こしたのである.
あれですよ。日本的組織の問題を研究するのに、今や当時の関係者が死滅してしまった日本軍を対象にする必要はない。かっこうの研究材料が目の前に存在しているではないか。
誰かこの「歴史的敗戦」についてまともな本を書いてくれませんかねえ?某学会の査読やった図書券があるから、多少高くても買うよ。是非是非。