ドラマをみてもらうために
2015-04-15 07:02
子供の頃は毎年大河ドラマをみていた。ものによってはビデオが残っていないらしいから、私の頭の中にあるいくつかのシーンはそれしかないのだな。
去年は久しぶりに軍師官兵衛をみた。子供がそろそろ日本史を勉強する時期というのは言い訳で子供と楽しくみた。みながら自分が知らない日本史のあれこれがあることを知り勉強にもなった。
さて、次のドラマはと見るとなにやらとってつけたような女性がおにぎりがどうの、と言っている。おまけにキャッチコピーが「幕末男子の育て方」だ。なんだこれは。最初から見もしなかった。
かくのとおり受けるドラマをつくるのはなかなか難しい。最近信じ始めた「日本のTVは受け取り手の都合ではなく、作り手の都合で作られている」が原因の一つだろうかとも思う。その状況はアメリカでは変わり始めているらしい。
・この会社は映画の映像を、レンタルビデオの代わりに配信していた会社なんです。今アメリカはそういったところがドラマをつくるというのがどんどん主流になっていって、アマゾンね、あれもドラマを作っている。
・テレビでドラマを作るということ自体がもう終わります。そろそろ。少なくともアメリカはもうおわります。引用元:町山智浩「間もなくTVドラマは滅びます。ネットでの直接有料配信が滅ぼします」…アニメもそうなる?? - 見えない道場本舗
先日のAppleのSpring Forwardキーノートでも日本人にピンとこなかったのがHBOの配信開始である。そこで流された予告編は内容を全くしらない私にも面白そうに見える。ユーザからみたエンターテイメントという観点では彼我の間に信じられないような差があるように思える。
思えばTVというのは(日本において)面白い構造をしていて
・放送局は寡占状態
・そこに番組やスターを供給する事務所も実質的に寡占状態
・スポンサーはそこに膨大な広告費をつぎ込むがその効果はさっぱりわからない。
こうした構造は長年存在してきたので徹底的に腐敗している。とはいえTVの影響力は無視できないので、企業は相変わらずTV広告に莫大な金を払う。効果はわからず、その金は腐った階層の隙間に消えていく。かくしてそもそも「視聴者にみてもらう面白いドラマを作る」ということに対する動機が存在していないように思える。
Steve Jobsがいつかのインタビューで語っていたが、B to Cのマーケットは非常に単純だ、と。ものがよければ消費者は買うし、そうでなければ買わない。それだけだ、と。本来TVの世界もそうあるべきなのだが、B to B to Cであり、最後のワンステップがないがしろにされているのがおかしなところだ。
アメリカでは変化してもそれが日本に影響を与えるかどうかはわからない。私の脳が活動を停止するまでには少しは変化するだろう、とぼんやり期待をしているが。