SONY凋落の理由

2015-04-21 07:02

息子の同級生にソニー大賀元社長の孫と思われる人物がいる。(確証はない)それゆえ子供にソニーについて語ることが多い。

昔Steve Jobsは「僕らはみんなソニーが大好きだ」といったことがあるのだよというと彼は驚く。本当に。SONY凋落の理由について真剣に考えることは、我が国の衰退を逆行させる意味においても意義深いことだと思う。

例によってそれに書かれた文章は多いが、いずれも納得させられるものはない。やれ理系がトップでないとかやれ出井がどうとか。しかし今朝ようやくその理由と思える文章を目にした。

なので、分社化そのものが、これほどネガティブに受け止められるとは思ってもみなかったし、私の認識は甘かったのかもしれない。いま所属している組織の事業を自由度高く運営できるかどうかという点より、ソニー本体の社員であるかどうかが重要だという社員は少なくなかったということだ、と理解した。

引用元:エレキ分社への反発は想定外 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

これほど日本的な文化が持っている危うさを示している文章はないと思う。つまりソニー社員の多くにとって重要なのは

「いい製品を作る。いいサービスを作る」

ことではなく

「自分はソニー本体の社員だと言える」

ことなのだ。

つまり自分達に作り上げた「ソニー」という型にはまることが何よりも重要であり、そこで何をなしうるかというのは二の次三の次。

おそらく同じようなメンタリティが日本のどこでも起こっているにちがいない。こうしたメンタリティはボトムアップでは決して変わることがない。

赤羽:私は、社長の役割がいまほど高まったことはないのではと思います。先が見えず、世界的企業とのギャップが加速度的に大きくなった今、経営改革の決断をし、反対を押し切って会社を生まれ変わらせることは社長あるいはそれに次ぐ経営幹部にしかできません。

 役員に指示してやらせる、というレベルのことではありません。また、おっかなびっくりやることでもありません。日本にも、大胆な意思決定をし、経営改革を強力に推進している社長が少数ですが、いらっしゃいます。日本だからできない、文化的にできない、ということは決してありません。

引用元:大企業経営者の悩みが新人課長の悩みと同じになっている理由 (7ページ目):日経ビジネスオンライン

このブログで日本衰退の大きな理由は経営者にある、と主張してきた。私は赤羽氏の主張に全面的に賛成だ。株価が上がろうが、なんだろうが日米の大企業の競争力はますます差が開き、縮まる気配もない。

ジューコフが喝破した通り日本的組織の問題は上位に立つ人間が無能なところにある。もっと正確に言えば、無能な人間を出世させるその構造にある。

私は息子にこういう。大賀くんのおじいちゃんは自分で世界的な企業を作り上げた。大賀くんもソニーの社長ではなく、新しくソニーのような世界的にすばらしい仕事をする会社を作り上げてほしいものだ、と。