大企業で働くということ

2015-05-27 07:10

大きな企業で働く、ということは「不合理と正気を保ったまま付き合う」ことでもある。企業は一つの社会であり、その中で不合理なことにたくさん出会っても、いちいち怒っていては身がもたない。体が丈夫だとしてもまず出世はできない。あるレベルまでだが、出世できるのはその不合理を全く意に介さない馬鹿と、不合理と上手に付き合える賢い人間だ。間違って前者がトップに立つとその会社は崩壊する。

不適切会計発覚のきっかけは、関係者による証券取引等監視委員会への内部通報だったことがすでに判明している。

「08年のリーマン・ショックによる業績落ち込みからの回復で、ライバルの日立製作所や三菱重工業に遅れを取り、その焦りから社内でのノルマが厳しくなっていたことも、今回の事件の底流にある」(東芝関係者)

引用元:堕ちた巨艦・東芝、一大粉飾事件&上場廃止の恐れも 不正会計に走らせた“焦り” (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

プロジェクトにかかった費用の計上をどのように行うかとか「会計学」という学問があることを知ったのは割と最近のことである。でもってその「テクニック」をあれこれやると利益を多く見せかけることができるんだそうな。

東芝の「不適切会計」の恐ろしいところは、その範囲が未だ見えないところだ。というか多分内部では「とんでもないことが行われていた」ことを誰もが知っておりそれをどうやって「ランディングさせるか」の議論をやっているのだろうな。その意味において超一流企業の東芝は、「メガベンチャー」の一角であるサイバーエージェントと変わりがない。

>一部クレジット表記が無い広告を子会社の株式会社サイバー・バズより4件、代理販売していた

一部クレジット表記が無い広告? サイバー・バズより4件? 代理販売? 本当にお詫びする気があるのか、あるいは実施されたという調査が充分なものなのかといったあたりに私のスピリッツの根幹にある中二の炎が湧き立つ感覚を持つわけですが、問題の再発が見えた場合にはどこかに格納されている証拠品フォルダに火がつくことがあるのかもしれません。

引用元:サイバーエージェントからネイティブアド(広告記事)に関する謎のお詫びが掲載される(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

いや、これはサイバーエージェントに対して失礼かもしれない。サイバーエージェントの場合は「馬鹿で独裁的な社長と、苦悩する部下」という図式が明確だが、東芝の場合おそらく不適切な会計処理が「企業文化」として根付いていたのではなかろうか。どの事業部もこれくらいのことはやってる、うちの事業部だけ取締役会でしかられるのは馬鹿らしい。うちも「東芝基準」の会計にしろ、という感じで。それゆえすっきりした原因究明はなされないだろう。東京裁判がすっきりしない結果になったのと同じ理由で。つまりリーダーがおらず、戦場のメリークリスマスのセリフを引用すれば

「集団で発狂した」

状態。

繰り返しになるが、大企業は一つの「社会」なのでその中での「常識」が外部世界とどれだけ乖離していようがそんなことは問題ではない。私は今「発狂した」という表現を使ったがそれは外から見ての話であり、内部ににる人間にはそうした自覚はないと思う。それは「常識」なのだ。