ユーザの声を聞こう!
2015-07-21 07:07
というのは時々正しく、多くの場合間違っている。東部戦線で戦っている将軍と会談したヒトラーは彼が生産を禁じたMP-43をもっと供給してくれと言われて戸惑ったのだそうな。この場合は「ユーザの意見」を聞くことは正しかったわけだが、間違った例はいくつも存在する。
ソニーのFirst Flightというサイトに行くと、幾つかの製品が並んでいる。そのうちの一つにこういうのがある。
はじめまして。プロジェクト代表の八木隆典と申します。「自分が使うボタンだけをまとめたリモコンが欲しい」という想いから、このHUIS REMOTE CONTROLLERの開発は始まりました。
私の家には多数のリモコンがあり、それぞれに多数のボタンがありますが、使うボタンはとても限られています。自分が欲しいボタンだけがひとつにまとまれば、使いやすく、リモコンが減って部屋もスッキリするのに。きっと同じ想いをお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。
よくある話だ。でもってこのページでははこうユーザに対して質問している。(アンケートから一部抜粋)
これはアンケートの「よくある間違い」である。理由は簡単で、これは実際に触ってみなければわからないからだ。
具体的に書こう。LINEが普及する前に
「個人で作ったスタンプをシェアしたいと思いますか?あるいは他の人が作ったスタンプにいくらまでなら払ってもいいと思いますか?」
と聞いたとしよう。そんな質問と答えになんの意味があるのか?スタンプがどんなものかわからず、それがどの程度会話の中で使われるのかわからない状態で「使いたいと思いますか?」でニーズが把握できると思っているのだろうか?
とはいえアンケートにこういう項目をつけたくなる気持ちもわからんでもない。たぶん社内でパワポを作る時に
「アンケートの結果、ニーズが確認されました!」
と言いたいのだろう。他の人が作ったリモコン画面みたいか?と問われればほとんどの人がYesと答えるわな。実際にそうした仕組みが作られた時、そう行動するか否かとは全く関係がないが。
思うにこういうアンケートは「政治的に正しい結論」を導くため意図的にやるものだろう。実際コアなユーザの声を聞いたってこんな結果になるだけだ。
興味深かったのは、あるユーザーは「ストレージをSDカードだけにしてほしい」という意見で、その隣にいた他のユーザーは「内蔵メモリだけにしてくれないと、プレイリストなどが使いづらい」といった正反対の考えがユーザー同士でも存在していること。バッテリの持ち時間についても、「1日しか持たなくても音質を優先して欲しい」という意見と、反対に再生時間を優先するという意見が真っ二つに分かれていた。
「両方作る」というのがよくある解決方法だが。どうですかソニーさん。「ユーザの声を反映した」商品群を山のように作ってみては。