VWのチャレンジ

2015-09-24 07:23

フォルクスワーゲンが「排気ガスの検査中だけ排気ガスをきれいにするソフト」を搭載していたのだそうな。

よくもそんな面倒なロジックと検証をやる気になったものだ、と組み込みソフトウェアのエンジニアなら感嘆するところだ。それをやろうと思えば、ロジックの設計から念入りな検証まで複雑な手順を踏まなくてはならない。一番の悪夢は「政府の試験中」にソフトが誤動作を始めそうした「いかさまロジック」の存在が明らかになること。だから「検証」はずいぶん慎重に行われたにちがいない。それ故

ウィンターコルン会長は「ほんの数人の過ちによって、60万人の全従業員の懸命かつ誠実な仕事ぶりが疑われるようなことはあってはならない」と述べ、組織ぐるみの不正ではなく、あくまで一部の従業員によるものだと強調しました。

引用元:フォルクスワーゲン 不正ソフトは約1100万台に NHKニュース

この会長だかCEOだかの言葉を真に受ける人はいないだろう。自動車会社のような官僚的組織でこんなことが「数人」でできるはずがない。数千人の間違いではないのか。

こうしたことが明らかになれば、ここのところ続いていたVW関連の「奇妙な事象」の謎も明らかになるかもしれない。

では、現在、スズキが何か困っているかというと、何も困っていません。ワーゲンさんの持つ個別の技術について勉強させてもらいましたが、いますぐに欲しいという技術はありません。

引用元:スズキとワーゲンの今とこれから (鈴木修氏の経営者ブログ) :日本経済新聞

世界の新車販売で今上期、フォルクスワーゲンがトヨタを抜いて首位奪還というニュースが流れた矢先に、VW日本法人の社長が突然辞任することが明らかとなり、「VWに何が起きたのか?」と、輸入車業界で大きな話題を呼んでいる。

引用元:「ゴキゲン♪ワーゲン」のVWに何が!?日本法人社長の唐突な辞任劇が生んだ波紋|モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫|ダイヤモンド・オンライン

上の記事はいずれも「VWとの提携を解消したスズキ会長の慧眼」経由で知った。

なんとなく想像するに、これはドイツ版(私のような古い人間は未だに「西ドイツ」と描きたくなる)チャレンジではなかったのか。「VWはトヨタなんか蹴散らして世界一になるんだ!」という大号令が隅々にまで行きわったった結果こういうことが起こる。

とはいえ

私が考える「幸運な要素」はこの問題が発覚した場所が「米国」ということだ。かの国では我が国のように「玉虫色のやさしい解決」が図られることは少ない。もちろん馬鹿げた行き過ぎはあるが、FIFAの不正とおなじくこれも徹底的に糾弾してくれると思う。東芝のようなうやむや解決にはならんだろう。

そして私はいつか出版されるであろう「VWの落日(想像)」を楽しみにしていよう。そこには多くのサラリーマンが首がいたくなるほどうなずく様々な事象が記載されているにちがいない。