Obamaの怒り

2015-10-06 07:08

登場こそ衝撃的だったものの、その後のObamaはイマイチ冴えない。再選はしたからカーターやパパブッシュより良い、ということになるのかもしれないが、彼が歴史の上でどのような扱いを受けるかはわからない。

とはいえ

学校で銃乱射事件があるたびに、彼が心のそこから悲しみそして怒っていることは記者会見から伝わってくる。そしてその国の最高責任者でありながら、今度の事件のように

「ただの大学生が自宅に13丁も銃を保持している」

状況を変えようとしても何一つできないことに対するフラストレーションが。

彼は今回の記者会見で「米国はテロ阻止にものすごい金を使っているのに銃による犯罪阻止には何もしない。メディアはテロで死んだ人と銃で殺された人の数をグラフにしてほしい」と呼びかけた。こういう呼びかけに真面目に答えるメディアがいるところがアメリカだと思う。

米国における死者

引用元:銃はテロの約1,000倍の人を殺している:米国

このグラフは予想通りとはいえ興味深い。テロで殺された米国人の数は2001年に数千人あって、そのあとは「ちょこちょこ」。オレンジ+赤のが銃による死者(赤は自殺)緑が糖尿病、そして青が自動車事故である。

我々はこれを他人事のように考えるべきではない。イラクやシリアにわざわざ出かけて行った人間が首を切られると、メディアは大騒ぎ。しかし私はいつも思う。そうやって騒いでいる間に何人交通事故で死んでいるんだ、と。鉄道事故によって死んだ人間の数でさえテロで殺された日本人よりずっと多いだろうに新聞に載ることすらない。

これらの事実から現実を解釈すると

「我々は絶対値ではなく、微分値に反応する」

という結論が得られる。そしてObamaが述べた通り、米国では「銃乱射」が「ちょっと肩をすくめておしまいにする」日常の一部となってしまっているのだろう。我々が交通事故による死亡をニュースにもしないように。

そう考えると、心臓発作と糖尿病を紛れ込ませたグラフを作るWiredの意図もそこらへんにあるのではないかと思う。そういう原因の死亡数に比べれば銃による死者の数なんか大したもんじゃないじゃないか。そう言おうとしているように思える。

私はといえば、いつでもハンドルを握るときは糖尿病、心臓発作、それに銃とは違う恐怖を味わっている。自分が加害者になるかもしれないのだ。

私の頭が停止するまでには、自動車の運転が違法行為になるのを見ることはなさそう。しかし子供は私が味わっているような恐怖とは無縁であってほしい、とちょっと考えている。