平成の剣闘士

2016-01-20 07:05

SMAPなる人たちが売れ始めた頃、すでに私はそうしたアイドルに興味を持たない年代になっていたので、彼らに対して思い入れはない。あちこちで名前を聞くから売れているとは知っている。

少し前にその人たちが解散すると聞いた。随分長い間やったし好きにすればいいと思っていたがどうやらそう話は簡単に進まない。おそらく利害を持ついろいろな陣営がいろいろな「関係者の話」を流す。それを報道するのは「スポーツ新聞」おそらくどの新聞は誰と結びつきが、とかいろいろあるのだろう。

そして彼らはフジテレビの某番組で「謝罪」したらしい。その様子は確かに異様だった。

芸能界はヤクザのフロントエンド、なんて言葉はせいぜい揶揄程度にしか言われておらず、大半の人も「まあそうなんだろうけど」ぐらいだった思うが、今回のスマスマ謝罪会見で「あ、芸能界はヤクザなんだ」と痛烈に知れ渡り、それを取り巻く芸能報道もヤクザの太鼓持ちなんだと子供でも分かる状況に。

引用元:西岡さんはTwitterを使っています

40歳を超えた男性たちが、自分で職業を選択することすらできない。見ていて理解できた。彼らは現代の奴隷なのだ。皮肉なことに以下のセリフは某ドラマの中でSMAPのメンバーが言っていたらしい。

古代ローマの奴隷の定義を知っている?
古代ローマには贅沢な暮らしをしていて何の不自由もない医者や教師といった
インテリの奴隷もたくさんいたんだ
彼らは鎖に縛られることもなく
主人からは貴重な人材として丁重に扱われた

しかし
彼らは奴隷だった

では奴隷とローマ市民の違いはいったいなんだったのか?

奴隷の運命はすべて主人が握っていたんだよ
彼らに自分の運命を決める権利はない

つまり「自分の運命を自分で選択できない人間」
それが「奴隷」なんだ
貧富の差は関係ない

ドラマ「独身貴族」

引用元:古代ローマの奴隷の定義 | ちょっと長い名言集~前進するあなたへ~

彼らに対する「賞賛」「歓声」は「剣闘士」に向けられたそれと同列。剣闘士たちの「ショー」に大金をつぎ込む人たちは剣闘士の胴元に養分を補給している。つまりそうした人たちは剣闘士の殺し合いに歓声をあげていたローマ人と同じレベルにある。個人が自分の資産をどう使おうと自由だが、自分たちがヤクザを太らせているという事実は自覚するべきだと思う。

それでも

「奴隷」を夢見、それになるためにすべてをかける若い男女は後を絶たないし、これからも減ることはないのだろう。それほどまでに「聴衆からの歓声」というのは魅力的なものなのだろうか。

剣闘士だった奴隷は観客の喝采を浴びた経験が忘れられず、引退してもまた剣闘士に戻る者もいた

引用元:剣闘士 - Wikipedia