Appleとリビングにあるディスプレイ

2016-02-12 07:41

AppleがTVのWebサービスに取り組んでいるというニュースを聞いた時「?」と思った。噂に推測を重ねるあやふやな話だが、今朝こんなコメントを知る。

Recently, however, reports have claimed that Apple’s talks with major networks have stalled. Now, speaking to CNN, CBS CEO Les Moonves has confirmed that talks between Apple and CBS have stopped recently.

引用元:CBS CEO now says company has had no ‘recent talks’ with Apple about streaming TV service | 9to5Mac

自動車開発の頓挫が先日伝えられたが、TVのストリーミングサービスも頓挫しているらしい。

これをもって「Jobsがいなくなったから」と嬉しそうにしゃべる人は多いだろうが、不幸にして私はそうしたメンタリティを共有していない。仮にこれが実現したとしてもアメリカのサービスだから私には関係ない、というつもりもない。TVはもっとよくなれると思っているからだ。

とはいえ

以前「もうコンテンツ制作から全部Appleでやるべきだ」と書いたような気もするが、少し前にこういう考え方があることを知った。

多くの企業が新分野に挑戦する際に「スタックの誤謬」を犯し、その結果、劇的に失敗する。

伝統あるデータベース企業が「アプリ化なんか簡単だ」と思ったり、バーチャル・マシンの企業が「ビッグ・データなんかなんということもない」と思ったりするのがよい例だ。われわれはこういう考え方を「スタックの誤謬」と呼んでいる。

スタックの誤謬とは、企業がこれまで積み重ねてきたさまざまなレイヤーの上にもう一段レイヤーを重ねる〔スタックする〕ことを「ごく簡単だ」と思い込むことと定義できる。

引用元:スタックの誤謬―大企業が新分野参入でいつも失敗する理由を考える | TechCrunch Japan

私はこの「スタックの誤謬」は数多くの失敗と成功を説明するすばらしいアイディアだと思っている。Google+とiCloudがなぜ失敗したのか。この理論による説明が一番説得力があるように思う。

そう考えれば

私がわめいていたような「Appleがコンテンツまで作るべきだ!」というのは実にありふれた

「思い上がったあげくの死亡フラグ」

であることに気がつく。そう考えれば私はAppleがストリーミングサービスを行うことは筋が悪い。ではどうするべきか。前掲した記事のコメント蘭に面白い言葉があった。

I’ll say it again. Forgot the networks. Let them do whatever they want. There are far more things more important to Apple TV than the networks.
Gaming, making, cloud service integration, making it a better platform, a news service, interactive home screen instead of a static one, I mean the possibilities are endless.

引用元:CBS CEO now says company has had no ‘recent talks’ with Apple about streaming TV service | 9to5Mac

適当な訳:もう一度言う。TVネットワークは忘れろ。なんでも好きなことをさせておけばよい。Apple TVにはTVネットワークよりずっと大事なものがある。

ゲーム、making?クラウドサービスの統合、もっといいプラットフォームにする、ニュース、静的ではなく、インタラクティブなスクリーン。可能性は無限だ。


思うに

Appleは独自のアイディアを生み出すのに長けている企業ではない。存在はしているがダメなものを素晴らしいものに変貌させることは得意だが。解がどこにあるのかわからないが、ひとつの可能性はTVではなく、リビングルームにあるディスプレイと考えることだと思う。はたしてAppleはその上でよいアプリを生み出せるだろうか?できなきゃどっかから買ってくるのでもいいよ。今TVネットワークが持っているコンテンツ買うんじゃなくてさ。