4年かかって崩壊するバブル
2016-02-24 07:25
これだけ長期にわたって「持続」できたのであれば、もうバブルと呼ぶべきではないのではなかろうか。2011年に日立建機は強気にこう述べた。
一方で「中国市場が高い成長を続ける」と予測する日立建機。「前年度は50%の伸びだった。今年も20%は堅いと見ている」と三原新一専務は話す。
販売した建機に取りつけた情報端末から収集した稼働率のデータを見ても建機の稼働時間に異変は見られない。沿岸部では油圧ショベル、東北地方や華北地方では鉱山で使う大型建機の販売が好調で、4月に入っても受注に目立った落ち込みは見られなかった。
「最近2年間の市場成長が急激だった反動はあるかもしれないが、今期も高い伸びが見込まれる」(同社)として、現地での生産能力の増強や営業体制の強化を急ぐ方針だ。 市場のあまりに急速な成長に、昨年から建機業界で「中国バブル」の言葉がささやかれているのは事実だが、今のところ、建機各社は現実に販売を伸ばし続けている。今回、コマツが予測のベースとした4月の実績も、最需要期が終わった反動からたまたま落ち込んだだけという可能性もある。
一方コマツは「肌感」で「そろそろ危ない」と考えていたのだそうな。でもって2015年末両社揃ってこんな状況らしい。
さらには日立建機も11月中旬から、本社での早期退職募集に踏み切る。対象は35歳以上の社員。人数は明らかにしないが、桂山哲夫CFOは「業界で取り残されず、20年、30年先も生き残れるように体制を築く」と意義を強調した。構造改革費用を今期112億円計上、類似製品の生産集約も進める。同業より高い販管費率を引き下げ、減収でも利益を捻出できるよう、体質改善を図る狙いだ。
引用元:コマツ、日立建機が直面した中国市場不振 | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
大学の同期が日立建機に勤めていたがどうなったかな。大丈夫だろうか。
しかし「変調」が伝えられてからバブル崩壊が明白になるまで4年というのは素晴らしい。どっかでちらっと読んだが「バブルにバブルを継ぐ」手法が「功を奏した」ということなのだろうか。
中国政府の「経済の舵取り」はまあいいとして、こうした状況は誰もが予測できたはず。問題はそれに備えることにある。
コマツは壁にぶつかっているのでしょうか。
遠藤:根深い問題だと思います。金融や流通の企業は自分たちのドメイン(事業領域)を広げて、顧客に提供する価値を広げようとしています。それに対してメーカーは、自分たちの狭い領域だけで考える傾向が強い。せっかくよい技術を持っているのに、世の中の潮流に乗り遅れています。
日本のメーカーは相変わらず、自社のモノ作りに誇りを持ち、商品に自信を持っています。確かにそうかもしれませんが、もっと視野を広げることで競争力が高められます。そういう発想を持たないメーカーは、本当に危険だと思います。
問題を指摘することはできるが、解決するのは簡単ではない。コマツや日立建機にいる「賢人」たちが備えを怠った(結果的に)からといって批難するは簡単だが、それに変わることは容易ではない。彼がここで「日本企業はこれだからダメだ」としている
「モノ造りに誇りをもち、商品に自信を持っている」
姿勢は(この専門家が知っているとは思うが)Appleも同様である。もちろんiTunesとかAppStoreとかからも収益は上がっているが、彼らの主たる収入源はiPhoneの製造、販売なのだ。Tim Cookの言葉を日本語に訳せば、彼らは間違いなく
「ダントツのスマートフォン」
を作ることでものすごい収益を上げている。そしてAppleもコマツや日本メーカーと同じく、その上にのるサービスを作り上げるのはちょっと苦手。
いつの日かAppleがまたダメ企業になった時、多くの「経済評論家」がうれしそうに論評する姿までが目に見えるようだが、私も歳をとってきたのでそういう「預言者にいっぱい食わせよう」という遊びには飽き飽きしている。