Hard Ball

2016-02-09 06:59

アメリカの大統領選の面白いところは、それがガチの殴り合いということ。いや、もちろん「ここで降りるから副大統領に」とか「国務長官やらせて」とかいろいろあるんだろうけど、少なくとも最初は正面から公開の席での殴り合いだ。

今回KOされたのは、軽いとっちゃん坊やことRubio君である。

ニューハンプシャーの予備選を前にした共和党のディベート。Rubioはこう指摘された。

「これがWashington DCのやり方だ。最初に適当なことを叫んでおき、そのあとに記憶しておいた25秒のスピーチをつなげる」

ちなみにRubio君の「適当なこと」は「バラク・オバマは自分が何をやっているかわかっている(そのあとにオバマがやったことを並べ、自分は違うことをする、アメリカを偉大にするんだ!としめくくる)」

Rubio君がどうしようもないのは、こう指摘されたあとまた同じことを言ってしまったことだ。会場からのブーイングにもかかわらず。

彼には気の毒だが、見ているほうにとってこれほど面白い見世物はない。選挙権を持たない極東の島国にいるよれよれ男も面白がっているほどだ。まあ若いんだから、また挑戦のチャンスがあるよ。(適当)

というわけでこのやり取りは今後長きにわたって「大統領予備選での失敗例」として何度も何度も繰り返し見られることだろう。

しかし

ふと思う。トランプは「一発退場」クラスの暴言を何度もやっている。しかしRubioのような愚かなやり取りはしていない。そしてどうやらニューハンプシャーで勝ちそうな勢いだ。この差はなんなんだろうね。

思うにトランプがやっているのは「失言」ではなく「暴言」なのではないか。彼は自分が何を言っているのか理解している。とはいえ(これも何度も書いているが)彼の顔を見るのは控えめにいっても気が滅入る経験だ。遠くから見ていると「ジェフ・ブッシュでいいじゃん」と思うがまあいろいろあるんだろうな。