ホンハイによるシャープ買収の裏にあるもの
2016-02-29 07:06
聞きかじった記事を組み合わせてデマを流そう。なぜホンハイがシャープ買収を目指すのか。その後ろにはAppleがいる、という意見は根強い。
アップルが要求する品質と量の有機ELパネルが生産できるのは、現時点で韓国のサムスン電子のみ。なんとか間に合いそうなのが同じく韓国のLGである。日本のシャープとジャパンディスプレイ(JDI)は周回遅れ。サムスン頼みを避けたいアップルがホンハイの背中を押し、シャープにテコ入れさせた、と見るのが妥当であろう。
iPhoneのキーとなるコンポーネント、それはCPUと通信用チップとディスプレイとバッテリー。Appleの考え方をなぞればそれを自分たちの手でコントロールしたいという野望を持つだろう。CPUは今や自社で設計を始めている。ディスプレイはホンハイ経由でシャープを買収させる。バッテリーに対して彼らが何もやっていないとは思えない。今やMac BookでもApple Watchでもバッテリーは重要なコンポーネント。それをベンダー任せにするなどということはAppleのやり方からしてありえない。いや、先を急ごう。
さて前掲の記事はホンハイのもう一つの野望はEVだと説く。
日本にもゴウ氏が親密な起業家がいる。日本電産の創業者、永守重信氏とソフトバンクの創業者、孫正義氏である。日本電産の得意分野はモーター。ソフトバンクは言わずと知れた通信会社だ。シャープ買収は、EVが自動運転で走る「未来」をにらんだ、ホンハイの第一歩かもしれない。
このくだりを読んで先日みつけたこのくだりが思い起こされた。
Do you foresee a day when a manufacturer would make an automobile on a contract basis for someone else?
I think it does exist today, but I don’t think it’s the model for the [auto] industry. It’s not how it was born. That industry was born much like the industry that we’re in, the electronics industry: People began doing their own manufacturing, and then over time it became clear that specializing would probably be a better way to go from the supply-chain point of view. And so most companies begin to go in that way, at different levels and maybe in different ways.
Cookの主張はこうだ。現在自動車メーカーは製造請負をしていない。しかし電気関連がそうなったことから、将来自動車もそうした方向に向かうのではないか。
前述の記事をこのコメントを考え合わせたとき、Cookとゴウが描いている未来はなんだろう?
ゴウはEVの製造請負メーカーになるつもりなのだ。そしてその最初にして最大の顧客がApple。Appleが自前で自動車の製造工場を抱えるとは考えられない。であれば、彼らは製造下請けを見つける必要がある。現在ホンハイやFoxconにしているように。
この考え方には一種疑念もあるが、将来電気自動車になったとき自動車の中身は半分くらい変わる。トランスミッションとエンジンがごっそり変わるのだ。その時製造ラインに変化が起こる、というのが一つの見方。(車輪と構造は今の技術を使うけど)そのタイミングでゴウとAppleは自動車に進出する。
EVとiPhoneの共通重要コンポーネントは何か?バッテリだ。それゆえ我々が知らないところでAppeはバッテリの支配についても何かを行っているにちがいない、とこういう妄想は楽しい。
しかしあれだな。私が生きている間はEVは高価なままだろう。Appleはその売り方を見つけるかもしれないが、値段が下がるとは思えない。iPhoneが高価なままなのと同じように。ということは、私には手が出ない、ということ。いかにApple原理主義者でもこれはなんともならない。
まあいいや。道の上を走る"nothing"とIveがいうような車が少しでも減れば。