サカタのタネ
2016-03-24 07:00
すいません。本当は「大事なのはタネ」と書こうとして「タネ」という言葉を頭においたら、自動的に「サカタの」がついてきました。
PDCAという言葉がある。よくわからんが、あるものを作ったら「指標」をチェックしてそれに基づき何かをして、、とかそういうことなんだそうな。
人間中心設計というのも似たようなことを言っている。つまるところ「プロトとかを作ってユーザテストをして有効性を確かめましょう」ということ。しかしながらいつもそういう話を聞くたび「何かが決定的に欠けている」と思う。
PDCAを高速で回す、とかいう言葉が好きな人は多い。「高速でPDCAを回す」ことへの疑問を呈したよい文章がある。それについたコメントが面白い。
早いの意味あいが違う。
ここでいう早いはさっさとやる、という意味ではない。
期間を効果の見込める最少期間に絞り、現状レビューから改善に繋げることで
結果的に改善されるまでの期間が短くすること。
そのためにも有効なCheck方法を事前に考えるPlanningを行うことが肝要。
文章を書いた人は「最初のタネを作るところを軽視してはいけない」と書いているのだが、それはコメントを書いた人の頭を素通りしているのが見て取れる。
強調したいのは
一番重要なのは最初の「タネ」なのだ。そのあとのサイクルはそれを「磨くための方法」にすぎない。つまりタネがもともとだめだったら高速だろうが、濃密だろうがそのあとのサイクルを回したところで何にもならない。
具体例をあげよう。ケータイ電話のメーカーはみんなPDCAだの人間中心設計だのやっていたのだ。しかし全部iPhoneにふっとばされた。
でもって
こうした「最初のタネ」軽視が蔓延しているのはなぜだろう。つまるとおろそれが「効率化」できないからではないかと思う。KPIを重視して高速で業務を改善すると、会社は矮小化し、そして死滅する。なぜかというと育てるべきタネがなくなるからだ。そして厄介なことにタネを作る部分は効率化できない。
糸井:それって、今の話で言えば、その商品があったら喜んでくれるであろう人に向き合っていないし、自分が本当の意味で、その商品のお客さんになってもいないですよね。当たり前のことですけど、僕らは、自分が納得できないものを作ったり売ったりしないことにしています。ただ、そこまで突き詰めてやっていますから、「市場」と「仕入先」を確保するのは、物凄くコストのいる仕事なんです。
川島:効率化しづらい領域ですね。
糸井:効率化しちゃだめなんじゃないかな、クリエイティブって仕事は。
というわけで「業務効率化」すれば生産性が上がる、と信じている人が支配する会社は「業務請負」になるか、滅亡することになる。
この「2種類の仕事」が存在することを意識できている人は滅多にいない。最初に挙げた文章についているコメントを書くような人は仕事=PDCAで改善できる仕事と思っている。確かにそうした業務だけでなりたっている会社の方がはるかに多いように感じるのだけどね。