三菱の歌

2016-04-21 07:23

何度か書いたことだが、私が最初に勤めたのは三菱重工だった。そして同期入社の友達とは未だに会っている。そしてそれからより小さいところ、歴史の浅い会社に勤め、三菱という名前が持っている意味について考え直すことが多い。

それとともにこういうニュースを聞くと「企業体質」というものが変わらないなあとため息をつく。

三菱自動車は2016年4月20日、軽自動車「eKワゴン」と「eKスペース」の型式認証取得において、国土交通省へ提出した燃費試験データを良好に見せるための不正操作が行われていたことが判明したと発表した。

引用元:エコカー技術:三菱自動車の燃費計測不正、シャシーダイナモの走行抵抗を軽めに設定 - MONOist(モノイスト)

三菱では「ストーリーを作る」ことが重視された。考えてみればあれ以来その言葉をあまり聞かないな。つまるところつじつまを合わせることであり、現実と乖離した建前を維持することであり、日本的な村の平和を守ることであった。

そうした「捏造」はどの組織でも大なり小なりあることであり、そうやって日々の村の平和は保たれる。問題はその村が外部と接触した時。かくして長崎造船所は「川向こう」の客に振り回され大赤字を出し、三菱自動車は「川向こう」の日産から指摘されようやく捏造に気がつく。

――内部告発でなく、日産から指摘されたことについては?

相川:現時点でなぜ内部告発がなかったのか、何とも申し上げられない。

――三菱自動車の体質は何も変わっていない。こういう体質はもう抜けないのでは?

相川:そういう見方があるのは重々承知している。(リコール隠しが発覚した)2000年以降、少しずつ、石垣を積み重ねるように改善をしてきたが、やはり、全社員にコンプライアンス意識を徹底することの難しさを私自身感じている。非常に無念でもあり、忸怩たる思いだ。

引用元:三菱自動車、変わりえない「隠蔽体質」の末路 | 自動車 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

内部告発がないのは当たり前で、内部告発をしようなどという人間はそもそも三菱でやっていけないからだ。そしてそうした企業体質が変わらないのも当たり前。つまり

「隠蔽は正義」

が三菱村の論理。正義を否定することなんて誰にもできないでしょ?おそらく今回の事件をうけ、車内に「コンプライアンス委員会」が発足し、社員研修が行われるだろう。真面目な三菱社員はそれに首を垂れて出席し、そして今までと同じように隠蔽を続ける。なぜなら「コンプライアンスを守りましょう」などというのは綺麗事の建前であり、聞き流せば良いことであり、隠蔽こそが行動指針であり正義だから。

隠蔽を上手に行う人間が評価され、出世する。大企業だから出世にはものすごい時間がかかる。長年積み上げられてきた体質はそう簡単に変わるわけがない。

何事も一般化するのは間違って居る。そう考えれば同じ自動車業界でもトヨタグループは「マシ」である。しかしこのニュースを聞けば「冗談だろ」としか思えない。

デンソーグループでは、真のグローバル企業としての持続的な成長に向け、性別・年齢・国籍などの属性を越えた、多様な価値観の中で「知」を最大限に活かすマネジメントの実現を目指している。このため、「多様な人材が活き活きと活躍出来る環境づくりが鍵」で、一人ひとりが未来志向・当事者意識を持って、意識変革・働き方変革に取り組むことを促進している。

引用元:デンソー、理想の上司を育成する「イクボス企業同盟」に加盟 | レスポンス(Response.jp)

かけてもいいけど、私の脳が機能を停止するまでに「三河の野蛮人」体質が変わるとは思えないよ。「川向こうの人」からみればここで目指している姿は「上出来のジョーク」としか思えないが、まあそれでいいんだよね。今日も惑星トヨタは平和だ。