なぜ出血を止めないのか
2016-04-27 07:10
最近シャープは「将来を考えた画期的な新製品」の発表に忙しい。破産の瀬戸際にあり、他に買収してもらわなければならない企業が行うことだろうか?という疑問が頭に残り続ける。
シャープは完全に機能を喪失しているから止められないのはわかるとして、理解できないのはテリー・ゴウがなぜこうした愚行をやめさせないのか、ということだ。
---
話は突然変わる。最近読んでいるリーマン・ショック・コンフィデンシャルである。破綻の瀬戸際にあるリーマンを英国のバークレイズが買収するという案が持ち上がる。米国の金融機関が共同で支援する,あとはバークレイズがうん、と言えばリーマンは救われるとなったところで
「いやー、検討しなくちゃいけないことがたくさんあるから」
と英国政府がストップをかける。そこを読むと
「いやー、歩兵師団がこないと前進できなんですよねー」
と休憩していた英国機甲師団を思い出す。数km先では同じ英国空挺第一師団がドイツにコテンパンにやられているというのに。
この話にはオチがあり、破綻したリーマンから一番うまみのある部門だけをバークレイズが買収したのだ。つまるところ
「リスクを負って丸ごと面倒見るより、破綻後に欲しいところだけ手に入れる」
のが適切だと考えたのではなかろうかと誰もが思うだろう。(誰もそのことを裏付けてはいないが)
---
さて、シャープを「買収する」テリー・ゴウである。彼はなぜシャープの無駄遣いにストップをかけないのか?一言でできるはずなのに。
と考えていてはた、と気がつく。
自分の金ならば、そんな無駄遣いは許さない。しかし他人の金だとしたらどうでもいい。
つまり
テリー・ゴウはロボホンとか作っている連中はそもそも「自分の金」だと思っていないのだ。彼は間違いなくバークレイズと同じ方法を狙っている。
だが、契約条項のなかには、出資期限となる2016年10月5日までに出資が実行されずに、破談となった際にも、鴻海はシャープのディスプレー事業を購入する権利を与ることが盛り込まれている。これは鴻海側の状況が変化し、破談になった場合でも実行されるという条項だ。
最近ようやく学んだのだが、あれこれのどさくさに紛れ、最後に「一番大事なこと」を言う人は多い。この条項は間違いなくそれ。シャープが会社更生法を申請した場合、Foxconnは二束三文で、しかも排他的にシャープの液晶事業を手に入れることができる。そのためなら「前払いの1000億円」なんか安いもの。出資を実行しない理由なんていくらでもつけられる。間違いなくこれからもシャープは「予想以上の赤字」を生み出し続ける。それを使えば良い。
---
シャープの人たちには気の毒だが
「一台20万円のロボホンが月に5000台売れる」
などと真顔で言う人たちに給料を払う会社がそうたくさんあるとは思えない。以下の記事は2011年のものだが。
ガラクタパゴス大失敗
しかし世の中は奇々怪々で、このガラクタプロジェクトを推進し、
社内の強硬な反対を押し切って「ガラパゴス」のネーミングをつけた
女部長は昇進してシャープの役員へ。
シャープの人事は奇々怪々
97 :名無しさん@12周年:2011/09/27(火) 18:25:37.48 ID:09ZjMG8h0
>>86
そういう不可解な人事はよくある。
ついでに言うと、そういう不可解な人事のある会社に未来は無い。
これからシャープは避けられない結末に向かって、淡々と進み続けるのだと思う。