生Alan Kayをみたよ
2016-05-17 06:58
10年以上ぶり2回目。前にIUIの招待講演で見たことがある。それから10年たち老けたはずなのだが、脚取りと口調は大変若々しい。
例によって「お前らあれこれ言ってるけど、そんなことは60年代にもう全部言われてたんだよ!」というAlan Kay節が炸裂する。私は頭を書きながら彼が紹介した論文をあれこれめくり始める。
さて
前に講演を聞いた時「なぜAlan Kayはこうも教育に入れ込んでいるのだろう」と不思議に思っていた。彼は今回司会者に「今一番大きな解決されていない問題は何か?」と聞かれてこう答えた
"teach how to be a good learner"
そしてこう付け加えた
"We want user interface to make us be different."
これを聞いて「なるほど」と合点がいった気がした。Computer Human Interactionの研究にはいろいろな側面がある。例えば「行なわなければいけない作業を便利にする」とか「人間の怠けたいという欲求に応える」とかだ。
しかし
「学ぶ」というのはそれらとは異なるものだとようやく気がついた。背中を上手にかける孫の手があれば、確かに背中の痒みはとれる。しかしそうなったとして得られるのは「一時の平安」でしかない。
これに対して「学ぶ」ことは、自分を変えていく、よりよくしていくという行為に他ならない。こうした観点からかれは「教育」というより「学び」にフォーカスしているのだな。
こうした「メタなそもそも論」は日本では概ね評判が悪い。どちらが原因が結果かはわからないがそれゆえ日本語ではなかなかこうした議論を聞くことができない。重い時差ボケと疲労に悩まされながらも、今回の出張にも意義があった、と考えることにしよう。