UPQのバッグ発表&即売会に行ってきたよ

2016-06-28 10:04

そういうブロガー向けのイベントがあると知り申し込んだのはだいぶ前。しかしそれからうんともすんとも返事がない。ブロガーイベントの告知がUPQサイトのトップに移動したことからも、おそらく集まりが期待以下だったのだろうな。

連絡ないまま落選か、と思っていたら前々日の土曜日にいきなり案内が来る。奥様の許可を得て会社帰りにのこのこ秋葉原まで行く。

7時から入場ということだが、7分前についてしまう。案内のホワイトボードをもった男性に聞けば「あっちをまがったところのエレベータで12Fに」と言われる。そちらに向かうがゲートがあり入れない。男性に同行してもらいなんとか上がる。エレベーターの中で白人の数人組と一緒になる。12Fにつくとこんなエリアである。

開設前

先ほどの数人組はカメラをあれこれ設定している。私は椅子にぼんやり座る。そのうち「こちらにプレゼンを投射しますので」と動けと言われる。別の椅子に座る。会場設営はこれから始まるらしい。結局中央を広く開けることになる、また移れと言われる。他にもブロガーの人がいるようだが所在なさげに立っている。机を移動させたり椅子を移動させたり。

椅子がそろい、これでもう動けと言われないだろうと思い着席する。時間がだんだん過ぎていく。7:28頃広報の古田氏が「もう間も無く始まりますので少々お待ちください」という。その時点でブロガーと思しき人は7名。30分なったがまだ始まらない。古田氏が再度登場し「遅れるという人が多数いるため、10分遅れで始めます」とアナウンスがある。そのままぼんやり待つ。前にはヘッドフォンとバッグが置かれている。

箱

バッグにこんな箱をつけるとは。その試みが新しいとは言えるだろう。

それから三人ブロガーが来た。時間になり中澤社長のプレゼンが始まる。本日の題名は「UPQ Bag BP01およびUPQ Bag BP02 miniをご体験、ご購入いただけるメディアやブロガー向けのイベント」だからバッグのすごいところをあれこれ説明してくれるのだろうと想像していた。だからプレゼンが

「今日で中国に初めて降り立ってから一年10日です」

というUPQの立ち上げ苦労話から始まった時は少し意外に思った。遅れてきた女性二人組がノリがよく「私中華料理も食べられないんですよー」と中澤氏がいうとそれに笑ったり、合いの手を入れたりしている。

それからも「UPQの立ち上げ苦労話」が延々と続く。その中で商品ライン、商品数がどんどん増えて行くことを説明する。「商品数を増やすつもりはないんですけど」と付け加える。第2シーズンで52製品になったとスライドには描かれている。

UPQは無意味な機能競争にとらわれず、コスト、機能、デザインのバランスをとった上で、一つつきぬけた点をもたせます、とのこと。15分ほどたちようやく話がバッグになった。

この日あった説明はUPQのサイトに掲示されているのとほぼ同じ内容である。内容なのだが、話がややこしくて何をいっているのかよくわからない。サイトの説明をみてもわからない。話としては、

・PCからも給電できるようにしたい。

・バッテリを外さずバッグにつけたままでも外から充電できるようにしたい。

ようするに内部に収納するバッテリ(これはバッグについているわけではない)からスマホに充電と、バッテリ自体の充電を両方可能にしたがため、どのケーブルがどの用途だかわからなくなっているのだ。こういうのは使っていればすぐわかるものかもしれないが。ちなみにこの充電用ケーブルは「試供品」とのこと。つながらなくても知らんよ、というどこか「小賢しさ」を感じる注釈がついている。

8時10分近くになりようやくプレゼンが終わりに近づく。本日は本来税込21,384円のところを18,000円でお買い求めいただけますとのこと。「本当はお釣り用意するのが面倒なだけなんですけどね」と中澤氏がいう。先ほどの二人組が笑い声をあげる。

といったところでようやくハンズオンになる。前にいってあれこれ触る。実物を見ると(説明にもあったが)ポケットの多さが印象的。亡くなった祖父はポケットがいっぱいついた服が好きだったから祖父が生きていればこれをプレゼントすればよかったかな。説明によれば、ジッパーとポケットの数が増えても製造単価は変わらない、と相手が言ったから「じゃあたくさんつけよう」ということにしたとのこと。背中が当たる面にPCを収納できるのは一般的だが、横にもジッパーがついており、上面を開けなくても取り出せるのは確かに珍しい。ただここを不意にあけて落とさないかという懸念は残る。

中澤氏にいくつか質問をした以下その会話の様子をできるだけ記憶から再現する。

まず「スマホの新しいのはいつでるんですか」と聞く。プレゼンの中で50インチディスプレイと電動スクーターは言及があったがスマホについては全く触れられていなかったのだ。答えは「7月か8月か。今A01XのOSアップデートを優先しているので」とのこと。というわけでA02を待っている人はまだかなり待たなくてはいけないようだ。

先ほど製品に一つとんがったところをつけるとおっしゃってましたが、バッグだとポケットとUSBですか。ディスプレイではなんですか?と聞くと「チューナーを省いて安くしたところです」と答えがある。あそこにあるヘッドフォンは?と聞くと「高音を変にいじっていないところ」とのこと。

そこから中澤氏の説明が始まる。これまでの家電は機能をつけすぎ価格が高すぎ消費者とメーカーの思惑が乖離している。これらの製品は例えば若者が「世の中には音がいいヘッドフォンもあるんだ」という気づきを与えるのに役立てばいいと思う。そのためエントリー価格にしてその範囲で音質を高めた。(ちなみにこの日ヘッドフォンで実際に音を聞く環境は用意されていなかったと思う)

ここらへんからマルコ・ルビオの演説を聞いているような気になる。つまり中澤氏が各所で繰り返してきた「私の思い」をひたすら述べるモードに入った。私は何度か質問をしようとしたが、言葉がよどみなく向かってくる。諦めて「私の思い」が終わるのを待つ。まあこういう「スイッチがはいる」のは誰にもあることだ。

このバッグはノースフェイスの製品によく似ていますが、価格は倍近い。これはポケットの数とUSBで差別化ということですか、と聞く。すると相手は「そもそも競合製品とかあまり気にしていない」と答えるので、さらに「先ほど若者向けにエントリーの製品を作ると話されました。しかしこのバッグはノースフェイスよりはるかに高い。これはエントリーになり得るでしょうか?」と聞く。

するとノースフェイスの製品はあまり知らないが、そもそものコンセプトが違うのではないかと思う、とのこと。なるほど、「同じバッグと思い価格だけ比べて欲しくない」ということか。

私は「そうはいっても若者に2万円のバッグは高くないでしょうか?」と聞く。中澤氏は「コンバースのいいスニーカーと同じくらいです。友達はコンバースもっているから、私はこれを買う、ということもあるのでは」と答えがあった。

カメラマンたち

私は聞くべきことは聞いたと思い、ありがとうございました、という。その間中ずっとカメラで撮影されていた。先ほどの白人グループとは別にアジア人女性二人組がずっとカメラとビデオで撮影をしている。彼らが何の目的で撮影しているのか、その映像をどう使うつもりで写りたくない人はどうすればいいのか(私は気にしないが、世の中には気にする人もいるようだ)会場では全く説明がなかった。

カウンターの上には、バッグの箱が置かれている。最終的に誰がこのバッグを購入したのかは知らない。

案内のメールには

「閉会時刻は20:30ですが、ご退出は自由にしていただいて問題ございません。
お帰りのルートにつきましては、当日スタッフの案内をご確認ください。」

とかいてある。とはいっても退出方法についてアナウンスはなかったから一礼してその場所を後にした。ところがゲートでまたもやひっかかる。カードを持っている人にくっついて退出した。ガードマンがちょっと怪訝な顔をしたが、また12Fまで戻るのは嫌である。

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UPQの説明を聞いていると前後矛盾したところに気がつく。商品数を増やすつもりはないが、とうとう52製品になりました、という。しかしそれは「完売。まだ小売店には在庫があるかもね」という旧製品や、A02のようにそもそもまだ存在していない製品まで含んでいるのではないかと思う。なぜそうまでして数を膨らませてプレゼンするのだろう。

52種類

機能、価格競争ではなく独自のコンセプトを見てほしい、という考え方は悪くない。誰もiPhoneとAndroidで機能の数と価格を比較したりはしない。iPhoneはiPhoneとして高価格でも売れている。

問題はUPQの製品をみていても「独自のコンセプト」が見えない点。今回のバッグについてはCADデータを持ち込んで作ってもらったのだそうな。実物をみて納得できたが、あれだけポケットが多いと構造が全く変わってしまうから「オリジナル設計」というのは少なくともバッグに関しては納得できる。

しかしそれはもっと大きな問題を提示している。「一からCADデータをおこしてつくったのなら、なぜノースフェイス・フューズボックスと同じような形なのか?」という点。

コンセプトが違う。だから価格差が2倍あっても気にしない、という姿勢は正しい。ならばその価格差を忘れて思わず

「これが買いたい!」

と思えるような斬新なデザイン、コンセプトを出すべきと思うのだが。

街中でアルファロメオの車を見ると、思わず目がいく。価格が高かろうが故障しようがあの車に乗りたい、という気持ちにさせられる。

しかしカローラと外観そっくりの車をつくり2倍の値札をつけ「収納とウSB充電がついてます」と主張したところで誰も興味を持たない。ノースフェイスのバッグは初見では「へ?水のタンク?」という奇妙な形だが、見慣れてくると味がでる見事なデザイン。その形だけ真似して2倍だせと言われてもねえ。実物を丹念に見たが、あれが8000円なら衝動買いしていかもしれない。2万円は逆立ちしても出す気にならない。

中澤氏の喋り方は私の言うところの「不敗の立場」である。とにかく相手の質問に何か言い返すが、自分の発言の一貫性には目をつぶる、というものだ。先ほど書いたが、ディスプレーとバッグの価格、コンセプトは一貫しているとは思えない。こういう「不敗の立場」に立った人の議論は不毛だからあまり好きではないが、世の中にはそのようにペラペラ応答する人を見て「この人は考えがしっかりしている」と評する人がいるのは知っている。

結局UPQの最大の「売り」はUPQの創業ストーリーと社長自身なのだと思う。この日はバッグの説明会でありながら、バッグ自体のの説明よりも創業ストーリーが長かったことを思い返そう。

売り方

中澤氏の説明によれば、この社長の90%大写真は、イオンのノリのいいおじさんたちが勢いで作ったのだそうな。私はこの売り場がUPQを象徴していると思う。つまり製品だけでは商品力はない。社長の写真をつけてようやく売り物になる。

もう一つ気がついたこと。中澤氏はしきりに「私はカシオ出身で」と口にする。私の質問に答える時も口にしていたように思う。

私のサラリーマン人生での経験則だが

「自分が過去に勤務した大企業の名前をやたら口にする人間にロクな奴はいない」