マーケティング

2016-07-21 07:23

私は「売れるアプリの秘訣教えます!」といった類の記事は最初から「けっ」と斜めに構えて読む。しかしこの記事はおもしろかった。

シナリオをつくるときに「気をつけるべきこと」ってありますか?

伊勢:
やっぱり「王道」がいいですね。恋愛ゲームやる人って「きっとこうなるはず」というストーリーを、ドキドキしながら追いかけたいんですよ。

このときのポイントは「いかに感情を揺さぶるか」です。ドキドキしないと、楽しめないから。ただし、決して「ユーザーの心」を折ってはいけません。

どういうことですか。

伊勢:
たとえば「もう、お前なんて知らないからな」と、ヒロインが突き放されるシーンでは、「しかし、手は暖かかった」としっかりフォローを入れたり。

だって、ゲームの中でまで「つらい思い」なんてしたくないじゃないですか。でも、平坦じゃつまらないから、感情の揺さぶりは必要なんです。

引用元:ただの「いい人」はゲームでも現実でもモテない。1本で1億円を稼ぐ「恋愛ゲーム」の裏側と、モテる二次元キャラの法則をアリスマティックが語る。 | アプリマーケティング研究所

なぜ面白いかというと「地に足がついた」意見のような気がするからだ。多く売れるもの、というのはやはり「王道」なのだろう。パターン通りでつまらない、などと理屈をこねる私のような人間は貧乏暮しをしてなさい、ということだ。

このインタビューでもう一つ面白いと思うのは

もちろん「恋愛ゲーム」が、かならず儲かるわけではなくて。適当に「儲かるんでしょ」みたくつくる会社は、失敗しやすいですよね。

この辺は、経験よりも愛情なんですよね。インターン生がつくったゲームが、月100万円の売上になったこともありますし。

やっぱり「女性に幸せになってほしい」という気持ちでつくるのが、「恋愛ゲーム」の成功の秘訣なんだと思いますよ。

引用元:ただの「いい人」はゲームでも現実でもモテない。1本で1億円を稼ぐ「恋愛ゲーム」の裏側と、モテる二次元キャラの法則をアリスマティックが語る。 | アプリマーケティング研究所

深読みすればこの「締めの言葉」自体がこの記事で言われている「王道」のために書かれたのではないかとも思える。つまり多くの人が読みたい結論に落としている、というやつ。

まあそこまで考えることはしまい。Iveの言葉を引用するまでもなく、製品とかサービスの使い手というのは作り手がどんな気持ちで作ったか驚くほど正確にわかってしまう。対象となる女性に幸せになってもらいたい、だからストーリーを工夫する。これとこれとこれをいれると課金が向上するデータがある。だからストーリーをこのようにする。これは似てはいるが「誰を幸せにするのか」が微妙かつ決定的にずれている。

最近以前読んだこの言葉を思い出すことが多い。

相手が欲していることは何で、どうやったらモチベーションを高く持ってくれるかを必死に考え抜くの。そうしたら勝手にみんなが動いてくれる。それがマネジメントだよ。

引用元:かつてネトゲで数十人を率いた妻の「マネジメント論」 - chocontaのブログ

それがマネジメントであり、マーケティングであり人間社会で生きて行く基本なのではないかと考えることが多い。そう考えるということは現実の私はできていない、ということだ。自分が売ろうとしている相手は何を欲しているか。それを「必死に」考えること。子供と一緒に受験勉強をするのもそれだな、と思う。