弱者のための大統領
2016-07-27 06:48
共和党大会と民主党大会を仕事のバックグラウンドでなんとなく聞いている。
聞いていて違和感があるのは共和党大会だ。トランプのスローガンは「米国を再び偉大な国に」である。これがいやというほど繰り返されるのだが
「ちょっとまて。ということは今の米国は偉大ではないと思ってるんだな」
とツッコミをいれたくなる。そりゃ問題は山積だけど、北朝鮮の人々が「わが国と書記だか主席だかは世界一偉大」と叫ぶのとは違う意味で米国というのは偉大な国だと思うのだけど。オバマの嫁もこう言っている。
トランプ氏が掲げる「米国を再び偉大な国に」というスローガンと対比させるように、「この国が偉大でないとはだれにも言わせないで。この国は今この時、地球上でもっとも偉大な国なのだから」と力を込めた。
米国が嫌いな人でもこの意見にはある程度の理を認めざるをえないだろう。そうでなくても共和党大会にはネガティブな妖気が立ち込めている。彼らと彼女たちがヒラリーを攻撃するときは「メールがどうのこうの」というが、東洋の島国に住む男にはトランプの失言の方が攻撃として真っ当な気がする。民主党大会のほうが楽しそうだ。
となると共和党大会およびトランプは誰に訴えているのだろう?そう考えたとき、偉大な国であってもそれを実感できず、不満を募らせている人がたくさんいることに(今更のように)気がつく。トランプはそうした人たちの「民意」をまとめあげ共和党の大統領候補という地位に登りつめた。これはすごいことだ。
11月にはどちらの米国民の声が「米国を代表する」とみなされるのだろうか。これから4年間米国は「負け犬が吠えまくる国」になるのだろうか。民主主義とは、その主張の内容に関わらず多数を制したものが政治を仕切るシステムである。だからたとえそうなったとしても、それが米国民の「民意」ということになる。
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それとともに痛感するのがトランプの賢さである。前にも書いたが彼は普通に考えれば「致命傷」とも言える失言、暴言を何度もしている。それでありながら民衆の支持はゆるがない。
選挙がどんな結果に終わっても、誰かがトランプのやり方について真面目に考察し本を書くべきだ。インターネットの普及によってちょっとした発言が叩かれることが多い。それを息苦しいと感じる人には、トランプのやり方がきっと参考になるに違いない。