こういうことがあるから民主主義は面白い
2016-08-01 07:01
正直言えば、私は小池東京都知事がどんな人がほとんど知らない。しかし一応大臣を大過なく勤めたことからして鳩山ほどのバカではないと期待してもいいかもしれない。とはいえ「こんなキジルシを選んでしまったか」と後悔する可能性は残っている。
それはそれとして
歳をとり、サラリーマン生活が長くなってくると「結局偉い人に取り入った者勝ちだよね」という考えを持つようになる。剛力某という女性がいつまでもあちこちに顔を出すのも「有力事務所のお気に入り」だからであり、SMAPが公開処刑されるのも「有力事務所の有力者を怒らせた」からであり、会社で出世するのは能力以前に「偉い人に気に入られる」ことが必須であり、偉い人に嫌われれば、仮にノーベル賞を取るような成果を上げたところで若くして子会社に飛ばされる。つまり個人がどうだとか、必要な技能を持っているとかそんなことはどうでもいい。そう思えてくる。
巨大勢力があり、その中で権力を握った人間が「あの男でいいだろう」という人間を推薦する。それに対抗する勢力は団結して別の人間を押す。こうなれば、仮にその二人がどんな人間であろうと「二人のうちどっちかがなるんでしょ」でおしまい。まかり間違っても巨大勢力の権力者にたてついた人間が勝つことなどありえない。
小池氏の勝因の一つは、舛添前知事の辞職で政治不信が高まる中で、女性1人で既存の組織と対決するという小池さんの姿勢に共感が集まったこと。その流れは、自民党東京都連が小池候補を応援すれば処分すると締め付けたり、石原慎太郎元知事が小池さんを「厚化粧」などとやゆしたことなどで一層強まった。出口調査によると、選挙結果を左右する無党派層はおよそ半数が小池氏に投票する結果となった。
例えば会社であれば、こうした平社員の声が結果を左右することなどまずありえない。今回「論外」の小池氏を都知事にしたのはこうした「下から見えば丸見えの図式に気がついた平社員の正直な気持ち」だったと私は思う。会社の中にもこうした声は存在してるんだよ。ただそれを反映する方法がないだけで。
こういうのが「民主主義」の面白いところなのだろうな。人類が長い歴史を経て辿り着いたのがこうした「政治のやり方」だったのは実に興味深い。