戦場をシフトさせる
2016-08-24 07:14
ようやく他人の行動をみてパターンを指摘できるようにはなってきたが、自分ではさっぱり実行できないことの一つに「戦場をシフトさせる」というのがある。
Mac V.S. PCの戦いを覚えている人はいるだろうか。Macがどんなに宣伝しようと、PCのシェアを突き崩すことはできなかった。Steve JobsはPC OSでのシェア争いは終わったと宣言した。
そこで彼は何をやったか?戦場をモバイルにシフトしたのだ。そこではAppleは信じられないほどの成功を収め、Microsoftは手も足もでなかった。そしていまやAppleが製造した「情報機器」の数はWindows搭載のそれを上回るようになった。強大な敵に全く歯が立たないときは戦場自体を移してしまうのだ。
さて
いきなり何を言い出したかといえばこのニュース。
Top auto-parts suppliers Delphi Automotive PLC and Mobileye NV are joining forces to develop a fully autonomous driving system that car makers could begin placing in their vehicles beginning in 2019.
引用元:Delphi, Mobileye Join Forces to Develop Self-Drive System - WSJ
Delphiといってもほとんどの人は知らないだろうし、私も人生の一年ちょっとの間しか聞いたことがない名前である。元GMの一部門の部品メーカー。そこがイスラエルのモービルアイと組んで各自動車メーカーが採用できる自動運転のシステムを作るのだそうな。
これはDelphiによるモービルアイの買収では無い。私のもう一つの信条「連合とか同盟とかにろくなものはない」をあてはめれば、この形態でうまくいくとは思えない。しかしこれは愉快ではないだろうか。
一昔前、トヨタで一番偉いのはエンジン担当だったのだそうな。最近は何かしらないが、今自動車業界に大きな「戦場のシフト」が起こりつつある。電気推進と自動運転である。両方共市場やら環境やら法律の関係があるから一朝一夕にとはいくまいが、ガソリンエンジンとサスペンション、高速性能やら乗りごこちばかりを気にしていた戦いから大きく変貌しようとしている。
こうなるとそれまで「下請け」と思っていたFoxconnにシャープが買収されるような事態が起こらないと誰が言えるだろう?GMをDelphiが買収するようなことが起こっても驚かない。(ありそうにないが)モービルアイがGMを買収するほうが面白いか。
Appleが電気自動車+自動運転に取組んでいると聞いた時「それはちょっと先走りすぎではないか」と思った。しかし今になれば愚鈍な私にも理解ができる。それは思ったよりも現実味のある話で、確かにAppleはそうした「戦場のシフト」を狙って自動車業に参入しようとしている。
Apple原理主義者としては、ここでお小遣いをApple株に投資しようかどうか迷うところだ。iPhone7がでて「失望売り」がでたところで、長期にホールドする株を買ってみようかな。