マネージメントとは

2016-09-15 07:16

現実離れした目標を部下(あるいは外注業者)に押し付け、「なぜ達成できない。いつまでにできるのか」と詰問すること。

冗談のように思えるかもしれないが、少なくとも三菱自動車と東芝においてはこれが正しいことだと見なされていたと解釈するしかない。またデンソーにおける「ソフトウェア開発」の一部はこういうやり方だった。(全員がこうだったわけではないよ。)

ここ数週間考えているのが、なぜこういうことがまかり通るのかということである。

一つの要素は「終身雇用制」だと思う。終身雇用というのは、会社に対する御恩と奉公の関係。必然的に世界は一つの企業に矮小化され、その中での論理が「世界の論理」となる。

であれば理屈をひっこめ、無理を通すしかない。それが「現場力」というものなのだろうか。インパール作戦でも、牟田口は後方で現実離れした命令を連発し、なぜできない、いつになったら攻略できる、と詰問を続けていた。であればおそらく彼は東芝でも三菱自動車でも出世できたことになる。

組織が崩壊に向かう予兆の一つはトップマネージメントが

「地図とあわないのは地形が悪い。末端のマネージャーはすぐに改善し報告するように」

と言い出すことではないかとぼんやり考えている。燃費の目標が達成できないのは性能試験部が悪い。利益目標が達成できないのは事業部が悪い。

まともな集団かそうでないかを見分ける一つの方法は「統計局」の存在ではなかろうか。

傑出したカリスマ的な性格のために、悪いニュースが薄め られた形でしか自分に伝えられないのではないかと恐れていた。そこで戦争の初期に、通常の指揮命令系統とは独立した部門として、「統計局」を設立し、現実 のうちとくに厳しい事実を、まったくフィルターを通さない生のままの形で、首相につねに提供することを第一の任務とした。チャーチルは戦争の指導にあたっ てこの部門をきわめて重視し、事実を伝えるよう、事実だけを伝えるよう繰り返し求めている。ナチスの機甲部隊がヨーロッパ大陸を席巻したころ、チャーチル はベッドでぐっすり眠ることができた。

「元気づけてくれる夢の必要はなかった。事実は夢にまさるのである」

と「第二次世界大戦」に書いている。

引用元:失敗の本質の一部

企業の「第3社診断」を定期的に行ってくれるのはコンサルティング会社ということになるんだろうな。それがもっと普及すべきだということなのだろうか。