シンギュラリティにつける薬
2016-11-17 06:43
シンギュラリティだあ!と喜んでいる人間とは、意味のある会話はできない。だからそういう人には
「そうっすね!人間はAIにとって変わられる、こわいっすね!」
と言っておいて、最近おきた二つの事象を並べてみよう。
「今回のアップデートは、Google翻訳の過去10年の進化の歴史よりも飛躍的な前進」だと同社はコメントする一方で、「より良い機械翻訳への道のりはまだ遠い」とも認め、「Google翻訳コミュニティー」にフィードバックを寄せてほしいとしている。
Googleは真面目な企業だ。ものすごい進歩を成し遂げているしバカではない。自分たちが成し遂げたことがなんなのかをちゃんと理解している。Google翻訳がすごい!シンギュラリティだあ!と喜んでいる人には「そうっすね!」と言うとして、もう一つ
人工知能(AI)で東京大合格を目指す「東ロボくん」の開発を進めてきた国立情報学研究所などは14日、2016年度の大学入試センター試験の模試で偏差値57.1を獲得したと発表した。昨年からほぼ横ばいで、東大合格圏には達しなかった。今後は東大合格を目標にせず、中高生の読解力を高める研究などに注力する考えだ。
この取り組みの一部分の説明を聞いて、驚いた「知能」とは程遠い「正解文章を作るためのアドホックな仕組み」の塊のようなやり方だったから。今後は東大合格を目標にしない、というのは大変妥当なことだと思うし、センセーショナルな日経の記事とはことなり、発表はたいそう的確なものだったようだ。
AIが不得意なのは「推論」「イメージ」「具体例」の3分野。
この3つについては、少なくとも今のところ、どうやればAIがこれらの問題を十分に解けるようになるのか、その方法論がさっぱりわからない。引用元:AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース
真田幸村の親父のセリフではないが、「人工知能など存在しない。それぞれ個別の問題があるだけだ」なのだ。少なくとも現時点では。いつの日か人間に置き換わるような汎用人工知能が実現するかもしれない。
しかしそれまでは全く性質が異なるがなぜか人間が解いている個別の問題にあたるしかない。そして「全く糸口すらつかめていない問題」はうんざりするほど多い。
テストを受験した公立中学校生340人のうち、
約5割が、教科書の内容を読み取れておらず、
約2割は、基礎的な読解もできていない
ことが明らかになってしまった。
そして、偏差値の高い学校の生徒ほど、リーディングスキルテストの成績もよい。
「読める」子が偏差値の高い学校に入っている可能性がある。引用元:AI研究者が問う ロボットは文章を読めない では子どもたちは「読めて」いるのか?(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!ニュース
今娘と一緒に中学受験の勉強をしている。正直どこかにはいれるかどうかわからないのだが、算数の基本的な概念を理解することとか、国語の文章を読む練習はきっと将来にも役立つに違い無い。そうおもって適度に一緒に勉強することにしよう。そう思えただけでもこの東ロボプロジェクトは私にとって有益だったと言えるな。