役に立つビジョン/ダメなビジョン
2016-11-18 07:02
例によってこれから書くことは私にとって幾分か危険を孕むことだが、今の会社について書いているわけではないし、もちろんこれは個人の意見だよ。
会社のビジョンとかミッションステートメントというものがある。例えばパチンコ会社、GREEのそれはこんなものである。
Mission(存在意義)
インターネットを通じて、世界をより良くする。
Vision(目指す姿)
毎日を楽しく幸せに、社会を自由で効率的に。
もうひとつのネットパチンコ会社、DeNAはこんなものである。
Delight and Impact the World 〜世界に喜びと驚きを〜
こういうのをダメなビジョンという。彼らの基本原理が
「日本の小金持ちをカモにしろ」
だということは誰もが知っている。そうでなければ、「乃木坂46と本気で恋するスマホゲーム」なんぞリリースできるわけがない。
ではGoogleのそれはなにかといえば
「1クリックで世界の情報へアクセス可能にする」
これが彼らの基本原理であり、それについては驚かざるを得ない。例えば今やGoogle Map上で何ができるかを考えてみよう。世界中の知られざる秘境であっても、Googleが公開している衛星写真から逃れることはできない。こういうのが「役に立つビジョン」である。
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さて、この両者を分かつものはなんだろうか?長い間考えて私はとうとう一つの真理に到達した。
役に立つビジョン=右か左か
役に立たないビジョン=もっと上へ
「もっと上へ」のビジョンとは要するに「よりよい社会と地球環境に貢献」というやつ。これは「早寝早起きして、歯を磨く」以上の意味を持たない。そんな寝言なら私でも言える。「もっとよいこと」を目指すのは当たり前だが、企業の存在かち、あるいは経営方針というのは「右にいくのか左に行くのか」ということなのだ。
例えば「よりよいゲームを作り、多くの人に喜んで使ってもらえる」というのは任天堂のビジョンだと思う。彼らはそうしたゲームを作り商売をしている。パチンコ会社GREEとDeNAはそれとは違うビジョンを抱いている。(前述のそれだ)任天堂は右といい、パチンコ屋は左という。好悪、善悪は脇においてこういうのが「ビジョン」というやつである。
そりゃ全部いいことができれば、それは素晴らしいよ。でも企業というのはそのために存在しているのではない。
「我々はこれで商売して勝つ」
と宣言するのが本来のビジョンであるべき。ならば「もっと上へ」ではなく「右か左」でなくてはビジョンにならない。自動車はもう走り出している。そのときに
「そうだねえ。なんだかいいところに行きたいねえ」
と運転手が言っていたら車はぶつかる。間違っていようがなんだろうが、右にいくのか左にいくのかを決断しなければならない。そのためのビジョンでなければただの念仏だ。