KPIの弊害
2016-12-01 07:09
KPIを設定し、PDCAを高速で回すことの弊害について考えよう。もう聞き飽きたという人もいるだろうが、不幸なことにネタがつきない。売り上げと利益をKPIにするのは一般的だが、どれについてドラッカーはこう述べている。
の目標として利益を強調することは、事業の存続を危うくするところまでマネジメントを誤らせる。今日の利益のために明日を犠牲にする。売りやすい製品に力を入れて、明日の製品をないがしろにする。(略)マネジメントとは、事業上の多様なニーズと目標をバランスさせることである。(現代の経営P.82)
引用元:「KPI」ってどういう意味?たった10分でざっくり把握する | マーケティングメトリックス研究所/MARKETING METRICS Lab.
ビジネスというのは複数の要素が複雑に関係し合ってなりたっている。KPIというのは、そのうちの一つの要素だけに集団の努力を集中させること。
「集中」の何が悪いのか?実際が複雑なモデルを過度に単純化し
「売り上げさえ上がればいいんだろ」
となってしまうから。その複雑な要素をバランスさせながらさらに「複雑な指標で」上を目指す、というのがマネージャーの仕事なのだが、KPIを設定することで大幅に単純化され、マネージャーの「負担が軽減される」つまりKPIをありがたがる組織というのは
「弊社のマネージャーは無能でございます」
と宣言しているようなものだ。
例えば現状でも、自分たちが大量投入したコンテンツによって検索結果がどれだけ酷い状況になっているのかは、DeNAの中の人でもわかっているはずだ。むしろ、中の人の方がよくわかっているだろう。
私はDeNAの優秀な社員たちは、数字を把握はしているが「わかっていない」と思う。なぜなら彼らはSEOの順位とかをKPIに設定し、PDCAを高速で回しているから(想像だよ)
DeNAの社内表彰制度で、2016年上期(4〜9月)にこのグロースハック部が、さらにその前の期には、WELQの立ち上げに携わった社員も表彰されているという。
それが表彰されるのはなぜかといえば、「KPIをすばらしく達成したから!」である。誰の迷惑になろうがそんなことはKPIとして設定されていない。それゆえ考える必要はない。これが「集中の効果」である。
つまり、体制を立て直して、再出発をはかりたいとしているわけですが、もしDeNAが本気でヘルスケア情報サイトの再生に取り組もうというのならば、ぜひ、ヘルスケア事業全般を率いる南場会長自身に音頭を取ってもらいたいと思います。
ことここにいたっても「南場が先頭にたてば大丈夫だ!」と言える人は幸せだ。こういう人間がDeNAやGREEのようなゴミ会社を生きながらえさせている。DeNAがやっていることは、最初期のネットオークションを除いて一貫している。コンプガチャにしろwelqにしろ
「自分たちの会社の利益が上がるのなら、社会がどうなろうが知ったことではない。」
である。そしてそれはDeNAの顔として都度登場する南場氏の(言葉にはしない)信念。
ヘルスケア事業にかける思いについて、南場会長はこんな風に熱っぽく語っています。
「『自分がやっておかなければいけないことだ』と、内から沸き起こる強い気持ちを初めて感じていた。もちろん私は事業家であって経営者だから、そこできちんと、事業として成功させなければいけない。ただ、最大のモチベーションは、『病気になる前にケアする社会をつくりたい』という個人的な強い思いだった」
コンサルのホラを真に受ける人間がいるからこそ、コンサルタントは商売できる。ランディ・パウシュの言葉にもある。人間が何を「言う」かには全く意味がない。「行動」をみなければならない。そしてDeNAの行動は一貫している。それがDeNAのDNAなのだ。