エンジニアの10年戦争
2017-01-12 06:44
iPhoneが発表されてから10年がたった。いろんなサイトにその関連記事が載っているが、特に印象に残ったのがこれ。初代iPhoneから最新機種に至るまで、分解された部品が並べて掲載されているのだ。
Take a moment to wander down memory lane with every iPhone teardown we’ve ever performed:
私のような素人が見ても、二つのことに気がつく。
・iPhone4で部品がのった基盤が小さくなり、バッテリーの脇に(多分)おかれるようになった。
・初代iPhoneとiPhone3Gは外観はほとんど変わっていないが、中身は全く別物。特に初代iPhoneは「家電製品」というよりは「とにかく押し込んだプロトタイプ」のように見える。
引用元:ifixit
以前会社のブログでこう書いた。
手順を固定したり、いざとなればニセの表示を行うことでデモは(ヒヤヒヤながら)乗り切ることができる。しかし製品はそうした言い訳をまったく考慮しない人たちの手に渡るのです。たった6ヶ月でそこまで製品の完成度を上げ、量産しなくてはならない。
「それからの6ヶ月の物語」が語られることがあるのかないのかわかりません。今はただその苦闘を想像していましょう。それとともに苦闘が素晴らしい製品に結実したエンジニアたちの幸運(苦闘と製品の質の間には不幸なことに常に相関関係があるわけではありません)をうらやましく思いながら。
この「プロトタイプにしか見えない」iPHoneの中身を見ると、その6ヶ月がそれまでの6ヶ月よりもはるかに厳しい戦いの連続だったことが偲ばれる。
SteveがTimがといったところで製品を我々庶民が手にするとき、製品を通して相対しているのは実際に設計をし、試作し無数の問題に日々取り組むエンジニアとデザイナ。この初代iPhone分解写真からは彼らと彼女たちの苦闘が読み取れる気がする。そして今もその苦闘は我々が目にできないところで続いているにちがいない。