東芝がそう言うなら大丈夫だ
2017-03-10 07:05
少し前、こんな「何かを訴えかける」ニュースを見た。
東芝は、決算発表を延期する理由となった原発子会社の会計処理をめぐる内部通報が決算の数字には影響しないとみていることが関係者の取材で分かった。
東芝は、アメリカの原発子会社で経営者が会計処理に圧力をかけたという内部通報を受けて、事実関係を調査するため決算発表を1か月延期している。
内部通報では、東芝の志賀重範前会長と原発子会社のウェスチングハウスのロデリック会長が名指しされていたが、いまのところ、志賀前会長が圧力をかけた事実はなかったとみている。
ロデリック会長については、子会社の巨額損失の報告を受ける会議の場で「多少言葉が荒かった可能性はある」として、これが圧力にあたるかどうか引き続き調査をしているという。しかし、東芝はこれまでの調査で、ロデリック会長の言動で決算の数字が変えられたということはなかったとみているという。
まるで「150万円脅し取ったのはいじめではない」とどっかの教育委員会が発表した時のような信頼の置ける言葉の羅列。そうか、東芝がこう見ているなら安心だ、って誰が思うのだろう。まあ東芝の内部的にはこういうことを「リーク」せざるを得なかったんだろうな。サラリーマンはつらいねえ。
案の定数日後にこういうニュースが流れる。
東芝が先月、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の内部統制上の問題が見つかったとして先送りした2016年4~12月期決算の発表が、再び延期される可能性が出てきた。
(中略)
東芝は、WHの経営幹部が部下に「不適切な圧力」をかけたとの内部告発に基づき、決算への影響などを調べている。原発建設を巡る費用増を小さく見せるよう迫ったとされるが、WH幹部の言動をどこまで不適切と認定するかなどの点で、東芝、WH双方の弁護士や監査法人の間で意見が分かれているという。
なんども痛い目にあってきた監査法人は「はあ、東芝様がそうおっしゃるならそれで行きましょう」とは口が裂けても言わんのだろうな。
想像するに、東芝/WHの幹部が「ふざけるな。こんな数字があるわけないだろう。チャレンジしてこい」とわめき散らし、それに対して虚偽の数字を作成した、と言うことなんだと思う。つまり東芝は現在発表しているよりさらにひどい状態にある。
しかし
東芝の弁護人はクライアントの意図を反映し「いや、圧力による粉飾決算はなかった」と主張し、日本テレビにもそう「リーク」する。
私みたいなチンピラサラリーマンからすると
「もう正直に全部ゲロって、0からやり直せよ」
と言いたくもなるが、そりゃ大企業で幹部になるような人にはそれはできんわね。
思いは東芝で真面目にこつこつ働いてきた名も知らぬサラリーマン、サラリーウーマンに飛ぶ。こうしたことはどの会社でも起こり得るとはいえ、日本を代表する大企業に対してはより厚い信頼をもって「奉公」を捧げてきたのだろうな。おそらくこういう状況になっても、「奉公」しつづけるしか道はない、と思う人がたくさんいるのだろう。
「めぞん一刻」という漫画で、ようやくもぐり込んだ会社でこれから働くんだ、とはりきっていた主人公が、入社直前の会社の倒産に見舞われる、というのがあった。東芝の面接を突破し、就職を勝ち取ったエリート学生たちはまさか自分が五代と同じ目にあうとはおもっていなかっただろうに。