愚者の僻み
2017-04-28 07:28
少し前になるが、情報処理学会の全国大会に行った。このイベントは実にいろいろなことを考えさせてくれる。発表を聞き、その人の経歴をネットでチェックし、どんな道を辿ってきたのだろう、と思いにふけるるのは非常に興味深い。世の中には本当にいろいろな道がある。
さてその全国大会でこんなトラックがあった。
日本学術振興会「博士課程教育リーディングプログラム」は,優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーとして養成する博士課程前期・後期一貫の学位プログラムです
引用元:情報処理学会 第79回全国大会
そこでは、将来有望と目されている若手研究者が次々登壇して、発表をおこなった。そしてそれを聞いていた私は言い知れぬ嫌悪感を感じた。
「ほら。僕ってこんな難しい課題を軽々こなしてますよ。僕って優秀でしょ!」
と行っているようにしか聞こえなかった。中にはミッションステートメントを設定した上で起業した人もいるのだが、なんというかその人の熱意はその対象となる業務というより
「ほら。僕って優秀でしょ!」
に向けられているようにしか思えなかったのだ。
このトラックで発表していた優秀な人たちが、果たして将来何をしてくれるのだろう。つつがなく出世街道を登り、多分どっかの教授になるのだろう。しかしこんなことして何の役にたつのか。
今朝この写真をみて笑ってしまった。堂々と「ボーリングカンパニー」と書いてある。Boringは穴を掘るという意味と「退屈」という意味がある。マスクの計画は、いつもの戦略、つまり既存企業がコストに利益を上乗せする方式に守られて改革を怠っている分野を発見し、そこで画期的イノベーション起こすというものだ。
日本に一番足りないのは、イーロン・マスクやジェフ・ベゾスのような人間。いるのは「法律ぎりぎりのところで小金を掠め取ることしか考えない人間」ばかり。
あそこで登壇していた人がいつの日か、Boring Companyを作るだろうか?とてもそうは思えない。文部科学省としては
「このようなプログラムを実施し、我が国の産業振興に必要な人材を育成しております」
ということなのだろうけど。
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今ふと思い出したけど「情報大爆発」とか「情報大航海」って何の意味があったのか?これもお役所が「我が国の産業振興に」と言い訳できるんだろうけど、企業と学校に金をばらまく以外に何の意味があったのだ?そして最もひどいのは、それについて何の反省もなされず
「なかったこと」
にしていること。