日はまた昇る
2017-04-03 07:12
日本の調子が良かった頃(少なくともそう見えていた頃)には「日はまた沈む」とかいう本がでていた記憶がある。であれば、今はこの題名を考えるべき時だ。
入札には、アップルやグーグル、アマゾンのほか、半導体関連メーカーの米ウエスタン・デジタル、台湾の鴻海ホンハイ精密工業、韓国のSKハイニックスなどが参加した。現時点で日本企業は含まれていないという。
東芝のメモリー事業購入に入札した企業に、日本企業が含まれていない。代わりにApple,Google,Amazonが入っている、というのは一時(30年前)からすると信じられない事態だ。
これだけの企業が2兆円を叩こうというのだから、東芝のメモリー事業にすばらしい競争力があることは間違いない。なのに東芝はそれを手放さなくてはならない。自分たちでマネージできないから。日本にあまた存在していたはずの「電機メーカー」も沈黙している。事業に力があっても、購入する体力がないのだろう。
此の期に及んで「中国への技術流出」とか言いたくなる気持ちはわかるが、この状況が端的に示しているのは
「日本人には企業が経営できない」
というその一点ではないか。兵隊、佐官までの士官として与えられた任務を忠実に実行することはできる。問題は「部下に任務を与える」人間がいないことだ。
Appleはまだわかるが、GoogleやAmazonがもしメモリー事業を手に入れたら彼らは何を始めるのだろう?ゴモラ(GoolgeのMotorola買収)のように「噛んで、特許だけ吸い上げて吐き出す」というのも一つのシナリオだが、携帯電話と違ってそれに意味があるようには思えない。彼らは何をする気なのだ?地球上の情報を全て記録できるほどの半導体メモリーを自分で抱えるつもりなのか?
かつてソフトウェア中心の企業と思われていたものが、「自分でやるもん」とハードウェアを作る傾向が存在しており、今回の入札はその一つの現れとも見える。結局我が国は海外企業に部品を売って生きて行くしかないのだろうか。