適者生存
2017-05-02 07:25
生き残るのは、もっとも強いものではない。もっとも環境に適応したもの。その場で生き延びるために何が必要かを見極め、それに注力したものが生き延びる。
かくしてこういうことが起こる。
つまり、「出来もしない、やりたくもないが、オジサン受けするネタ(Must)を出すと、ビジコンで優勝できる」という現象が発生します。
これがビジネスコンテストがうまくいかない大きな理由です。
当人の意思やケイパビリティではなく、審査員が理解可能でやるべきだと考えられていることを出すと優勝してしまうのです。
世の中にはビジネスコンテストなるものがあるそうな。でもってオジサンたちが若者たちの「自由な発想」を評価して優勝者をきめる。そういうばこの前会社でやったリクルートイベントでも「ビジネスコンテストがどうの」と言っていた人がいたな。
この場合に適応すべき環境とは「点数をつけるオジサンたちの頭の中」である。かくしてオジサンが理解可能なことを述べた人間が優勝し、実際のビジネスには全く役にたたない。
そういうわけで、審査員は往々にしてWillとCanが評価できないので、Mustをロジカルシンキングでガチガチに理論武装してやるだけで、簡単に優勝することができます。
加えて、審査員のオジサンはリサーチが甘いので、タイムマシンビジネスを出してあげるだけで、コロッと落ちたりします。
そのため、学生向けのコンテストなどでは、この手のロジカルシンキングができるが、コードも書けなければ、事業に対するやる気がない連中が優勝を掻っ攫い、もらった賞金で遊んで終了ということになります。
そりゃそんなビジコンからはビジネスは生まれません。
これはいかん、ということでビジネスコンテスト主催者にKPIが設定される。そこからどれだけ実際のビジネスが生まれたか。こんどは主催者側が「適応する」番だ。
すでにビジネス化されており、PoCが回り始めた事業に対して、ビジコンに出ないか?と主催者が声をかけ、その事業を優勝させるということが起こりつつあります。
回り始める車に乗るのだからこれほど確実なことはない。これがKPIの弊害の一つだと思う。KPIというのは複雑な現実のうち少数の指標だけを取り出して、それを絶対視するもの。かくして
「他のところは切り捨てていいんだな」
ということになり、こういう現象が起こる。
かつてWISHというイベントが行われていた。
日本のウェブの未来を担うような可能性のある「サービス」や「端末」を支援するイベントWISH 2010
これもひどいものだった。おそらく「審査員とお友達であること」が有力なKPIだったのではなかろうか。かくして製品もまだ販売していなかったCEREVOが受賞することとなる。
ふと考えたんだが、アカデミアの世界ってこういう「適者生存」の塊なのではないか?Webサービスに関して言えば「やる気のある人間はコンテストなんか出さないで、起業する」ということが言えるのだが、アカデミアってそれがそもそも存在しないし。
いろいろ大変だなあ。