経済学の目指すところ
2017-05-18 07:17
私のいとこに経済学部にはいった人がいた。彼は言った。
「経済学は辛い学問だよ。全然役に立たないから」
同じことをもっとエレガントに元FRB議長がこう言っている。
6.経済学について
「経済学とは高度に洗練された思考分野であり、過去の政策がなぜ誤っていたかを具体的に政策立案者に説明することに長けている。未来についてはそれほどでもない」
いや経済学にもいろいろな分野があり、というまともな議論は傍に置いておく。でもって最近この本を読んでいる。
専門家の直感があたるとき、当たらない時に関して書かれた章があり、なかなか面白い。結論としては
「予測の対象が、規則性に従うもので、かつその規則性を学ぶ機会が十分に与えられているものであれば、直感は役にたつ」
である。
でもって
経済というものが「規則性に従うもので、その規則性を学ぶ機会が十分ある」ものでないことは明白だろう。従って経済学者がTVで述べていることは、ほぼ間違いなくAKBが言っていることと大差がない。
面白いのはここから。
では彼らは何に対して「最適化」しているのか?ということになる。ベン(元FRB議長)の言葉と考え併せるとき、ある結論が導かれる。
「経済学者は、自分がどんな発言をすれば政策立案者の歓心を得ることができるか、について十分な学習機会を与えられているため、それに習熟しており、うまくやってのける」
つまり経済学者は「経済の動き」に精通しているのではなく、それに付随した「政策立案者の心理」により精通しているのではないかと思われるのだ。
これは理論の結果が(多くの場合)実験などで検証できる物理学と違うところ。こちらは多くの人が一致できる「客観的な真実」があるため、そちらに対して最適化されやすい。しかしそんな「客観的な真実」がない場合、学問は何に最適化すればいいだろう?経済学が出した結論が「政策立案者の歓心を最大化する」ということだったのではなかろうか。
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というほど私は経済学を無用の学問と思っているわけではない。経済学の分野になるかどうか知らないが、リーマンショックが米国経済に与えた影響と、バブルが日本の経済に与えた影響を比べるとき、「やはりなにがしかの知識やら経験は存在する」と考えざるを得ない。とはいえ、こういうネタに使うのが楽しいのも事実だ。