大企業発のイノベーション
2017-06-05 07:07
これもなかなか微妙なところではあるのだが、大企業が社内ででてきたアイディアを審査の上、新規事業、あるいは新製品として世に出す、というのはよく行われている。
でもって親愛なるソニーではこういうことがなされている。
誕生から約3年。SAPはtoioを含む12個の新商品を生み出している。時計、学習リモコンの「HUIS」、電子ブロック「MESH」、アロマディフューザー「AROMASTIC」などジャンルはさまざま。「新規商品を生み出しやすい仕組みとして社長直轄で立ち上げたのがSAP。
3年で12個の商品というのは確かに「素晴らしい」と思う。問題はここに並んでいる商品で、名前を聞いたことがあるのがMESHしかないことだ。他の商品に関していえばそもそも存在すら知らない。
つまりこういうことだ。テクノロジーに関するニュースフィードを毎朝チェックするところから1日の仕事は始まる。なのだがそこでこれらの製品が取り上げられたことはない。もちろんすばらしい事業計画を作り、それが評価されてここにでていると思うのだが、私のような人間がみると
「どう考えても売れるわけがない」
といったものばかりである。なんだかわかりやすい「新しさ」は満載である。しかし平井社長がいつかの講演でいっていた"Wao!"は皆無である。
これらをつらつらと眺めていると、「大企業がプロモーションする新規事業、新規サービス」という型があるのではないかと考えたくもなる。おそらく彼らは「新しいがどうでもいい」ものは会社にとって安全だと本能で知っているのだろう。そのうえ「ソニーはイノベーションを積極的に推進しています!」と公言することもできる。日本企業で時々大ヒットを作り出した「密造酒」のような雰囲気が皆無なのも興味深い。
でもってこういう積極的な交流イベントも行われる。
社外スタートアップとの新たなネットワーク、共創効果やインスピレーションを生み出すことを狙い、5月10日(水)ソニー本社1Fクリエイティブラウンジにて、Sony - Startup Switch 2017のMeetupイベントが開催されました。
当日は、斬新な製品・サービスを通じて、世の中にイノベーションを起こそうとしている社外スタートアップ11チームにご参加いただきました。また、社外との直接のネットワーキングの機会に興味のある多くのソニーグループ社員も参加し、大変盛り上がりました。
まあ私のような外野が何を言おうと、ここから一つでも驚くような製品がでてくれば大勝利である。今後ともソニーに期待したい。私はなぜこのような「大企業型イノベーション(の格好をしたもの)」が量産されるかについて考えていきたい。