我はロボット
2017-06-13 07:25
日本には「ロボットバカ」というべき人たちがたくさん存在しており、そのツボをうまくつくと10億円の売り上げを立てることができる。
創刊から1ヶ月が経過した現在、売上ベースで10億円を見込んでいるというから、この選択は正しかったのかもしれない。奈良原氏によれば、読者の大半は「50代以上で、可処分所得が高く、AIなどに対する知的好奇心が高い人々」だそうだ。本格的なコミュニケーションロボットになると価格が20万円〜30万円のものもあるが、このアトムの場合、ロボットを”70回の分割払い”で買えることも読者を惹きつけた要因の1つなのかもしれない。
引用元:創刊1ヶ月で売上10億円見込む――日本企業5社によって誕生した鉄腕アトム型のロボットキット | TechCrunch Japan
この文章を読むとため息しかでない。小学生や中学生がこういう製品にあこがれ、実際に使い、そして失望し「どこに問題があるのだろう」と考えることはとても有意義だと思う。そうしたきっかけを通じて、人工知能とには何ができ、何ができないのか、と学んでくれればいいと思う。
しかし「50代以上でAIに興味がある人」がこんな「ロボット詐欺」にひっかかるとは。推定10億というのは偉大な数字であり、私がどう逆立ちしてもそんな売り上げを作ることはできない。しかしこんな「ロボット」は過去に何度も作られ、そして何の役にも立っていない。この道は行き止まりなのに、いい年をした大人がその「行く先のない高速道路」に嬉々として金を払うのだ。
その意味では、東大入学を目指す人工知能を断念した判断は信じられないくらいすばしくまともだった。
客観的データと検証、そして子どもの成長を支える効果的な方法を模索するのは、“保護者”として当然のことではないだろうか。新技術をただ盲信せず、子どもの教育に携わる者として、そしてひとりの人間として子どもの未来を支えていきたいと感じさせる60分だった。
ちなみにこの問題を息子にやらせてみた。
全国約2万の中高生が実際に解いた問題。全国中学生正答率は38%、高校生正答率は65%。(解答は画像ページ)
彼は4倍の倍率を突破し某私立中学に通っているが、見事に間違えてくれた。今回の人工知能ブームは、確かに生活に役立っている。Google翻訳はその例だ。しかしより明確にしているのは
「人間の馬鹿さ加減」
である。東大に入れる人口知能を作ろうと思えば、どうしようもない「試験対策の特殊処理」を山ほど作る必要がある。そんなことをしている暇があったら、人間様の馬鹿さ加減をどうにかしなくてはならない。
なぜ人は「決められた発話しかしないアトム」に未来をみてしまうのか。3m先が行き止まりになっている道になぜ料金を払ってまで乗り入れようとするのか。いやこうした嘆きは有史以来数え切れないほど繰り返されてきたにちがいない。そして誰も解決策を見出していない。
だから私が解決に何がしかの貢献ができる可能性は限りなく低い。人間こういうものだと思って気楽に暮らそう。