先の話/近い話
2017-07-27 08:04
最初にApple Carに関する情報に触れた時「自動運転?電気自動車?またえらく先の話になっているな」と思った。しかし例によって無知なのは私の方だ。
7月6日、フランスのユロ・エコロジー大臣(環境連帯移行大臣)は、2040年までに、二酸化炭素の排出削減のため、国内におけるガソリン車およびディーゼル車の販売を禁止すると発表した。
これには正直驚いた。2040年に自分が生きているか、生きていたとしても頭がちゃんと動いているかは別として驚いた。フランスは自前で車を作っている数少ない国の一つである。そこが「内燃機関の車はオワコン」と宣言したのである。
The baby boomer generation romanticizes cars. Most boomers can recite the horsepower and other engine specs of every car they have ever owned. For the tail end of Gen-X (my generation) and Millennials, a car is an interruption between Facebook and Twitter.
引用元:Market Watch: The Apple Car could run traditional automakers off the road
今の自動車会社は「馬力や、エンジンのスペック」に楽しさを感じる人間が支配している。問題はそういう人間は急速に数を減らし(この変化も驚くべきものだ)
「車はFacebookとTwitterの間にある邪魔者」
と考える人間が増えて行くこと。
そうした傾向を漠然と予測しながらも「まだ先の話だろう」と思っていた。しかしひょっとしたら変化は思ったより早く、そして劇的に訪れるかもしれない。
うねりはアジアにも及んでいる。インド政府は今年4月「30年までに販売する車をすべてEVにする」との目標を表明し、中国でも類似の政策が打ち出されている。一気にEVにシフトして自国の有力産業に育成しようとの思惑も働いている。
日本政府も30年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッド(PHV)などの割合を5~7割にする目標を掲げる。ただ従来型の燃料車向けの部品など多くの関連メーカーがあるだけに、大胆な政策変更をしにくい面もある。
あるいはここに絵に描いたような「イノベーションのジレンマ」をみることができるかもしれない。現在「遅れている」国ほど大胆に方向を転換することができる。失うものが少ないから。逆に変化を拒絶したいのが今成功している国-ドイツと日本だ。(繰り返しになるがこの観点からもフランスが内燃機関自動車の廃止を宣言したのには驚く)
今膨大な市場を持っている二つの国-中国とインド-は両方とも自動車産業を育てたいと思っている。彼らが両方とも「内燃機関自動車は禁止」と打ち出した時、打撃を被るのはどこだろう?彼らが自動車産業における競争をリセットするためにそういう挙にでたら?いや、楽しい。(日本国民としては楽しいとか言っている場合でないのはわかっているが)
昭和のじじいがほざく「走りにスリルを求める」などというのは、私の考えでは傷害未遂と同義語である。そういう人間は金をはらってサーキットで巨大なガソリンエンジン車を思う存分走らせる、そんな時代がくるまで生きていたいと思う。