日本企業が衰退したわけ

2017-09-26 07:56

PCのOSシェア争いについて、Jobsは「マイクロソフトに勝てない」と認めた。ではどうしたか?新たな市場を作り、そこで圧倒的に勝利した。今や「PCのOSシェア争い」なんか誰も話題にもしない。

つまり

市場シェアを圧倒的に持っている企業に勝つ一つの方法が「戦場をずらす」ことである。孫子において軍争と呼ばれているものだ。後からゆっくりいって、敵より早く重要な地点を抑える。

私の考えでは日本以外の国は自動車産業においてそれを狙っている。自動車では日本が圧倒的に強い。では市場をずらしましょう。というわけで電気自動車に急激なシフトを図っている。さて、ここで親愛なる日本の大臣はなんと言っているだろう。

世耕経済産業大臣は15日、「EV(電気自動車)の潮流は拡大してきているし、実際に販売台数も増えている。しかし、いきなりEVにいけるわけでもない」、「EV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車などいろいろな次世代自動車があるわけで、戦略的によく考えて中長期的な視野で臨みたい。自動車産業界とも対話をしていきたい」と述べた

引用元:経産相「いきなり電気自動車にいけるわけでもない」 → 世界に置いてかれると非難殺到:はちま起稿

ものすごい既視感。昭和のおじさんが、よくこういう論法を使っていた。いや、あれもあるしこれもある。将来に関してはじっくり腰を据えて検討して生きたい。つまりよくわからないし、責任をとるのはいやだからだらだらと検討だけを続けていきたい。決断は絶対忌避したい。


こういうことを繰り返し、かつて世界を席巻していた日本の産業は衰退してきた。そのうちこの大臣は検討委員会でも作るのでは無いかな。そしてそこからたまむし色の「よくわかりません。みんなでがんばりましょう」という報告書が上がってくる。

最近ちょっと理由があり、車の自動運転に関してあれこれ調べた。驚愕したのは欧米の研究は「さしせまった課題」というスタンスであるのに対し、我が国の研究は「そのうちこういう時代がくるかもねー」という呑気さ。まるで持っている危機感が違う。

MEBプラットフォームを使うことで、I.D. conceptのようなハッチバック車から、I.D. BUZZ conceptのような小型バス、I.D. CROZZ conceptのようなSUV、ひいては、無人タクシーをイメージしたSEDRICまで、多様な車種を一つのプラットフォームから派生させることができる。これらの車種はどれも、凹凸のないフラットな床が特徴だ。VWはこのプラットフォームをVWブランドだけでなく、グループ内の幅広い車種で活用していく方針だ。逆にいえば、この柔軟性の高いプラットフォームがあるからこそ、短期間に数多くの車種を展開できるわけだ。

引用元:異例ずくめの「フランクフルトモーターショー」 (3ページ目):日経ビジネスオンライン

真面目に勉強していなかったが、電気自動車というものは、単に駆動力が電気になるという以上の大きなインパクトがあるのだな。このVWの発表に比べると日産のそれは「なーんかがんばってみましたー」といういつも通りの焦点がぼやけた発表にしか見えない。

こういう状況について「次世代自動車についてもいろいろある」と真顔で言えなくては日本の組織でえらくなることはできない。どうも本当に私がボケる前に日本の自動車産業が壊滅する姿を見ることができるような気がしてきた。s