少年野球兵の運命
2017-11-22 07:25
「野球しか知らない」不幸な人間を量産する日本の野球-これはベースボールとは似て非なるものだ-は速やかにカーリングと同程度の規模に縮小されるべき。私はそう考えている。
先日こんな記事を見つけた。出だしは「野球を通じて培った根性は素晴らしい!」と読める。
プロ野球選手を不動産販売の営業マンとして採用したいという。
「今回、初めてトライアウトに来ました。同業他社で元プロ野球選手が活躍しているケースがあるんです。ぶっちゃけ、営業職って、大事なのはガッツですよね。小さな頃からコツコツ野球をやってきて、いろんな試練に耐えてきた野球選手にはそれがある。業界のことはゆっくり覚えてもらえたらいい。不動産業はインセンティブがあって、能力に応じて年収は上がる。普通に頑張ってもらえれば、年収1000万円ぐらい余裕でいけます!」
そうした狙いがあるのはわかる。しかしこの記事の最後にはこんな文字が並んでいる。
プロ野球選手は、幼い頃から野球漬けの日々を送っており、社会経験のない選手が多数を占める。
「だからこそ、戦力外となった選手は不安を抱える。“俺は野球以外、何もできないんじゃないか”とネガティブ思考に陥ると、野球に関連する仕事にしか就くことができない。間違った選択とは言いませんが、そこから真の成功が得られるかといったら……」
実は今回、積極的に元プロ野球選手を採用していると聞いた企業に取材を申し込んだところ、苦笑交じりにこんな回答が返ってきた。
「確かに以前は、実験的に採用していました。しかし、採った全員が野球の世界に帰っていきました。現在は採用を見合わせています」
野球をすれば精神力が鍛えられる。上下関係を学び社会で通用する力が培われる。
それは神話だ。日本の野球システムはこういう不幸な人間を量産している。すみやかにカーリングと同じ規模まで縮小されるべきだ。