イノベーションのジレンマの具体例

2017-11-16 07:33

イノベーションのジレンマという有名な理論がある。一言で言えば

「市場を支配している大企業が、ユーザの声に耳を傾け、積極的に製品開発を行った結果衰退する」

というもので、私も最初読んだときはその内容にうなった。ただ問題は理論はいくら美しくても、実際に活用するのは難しいということ。これを提唱した教授は

「iPhoneは破壊的製品ではない」

と断言し、自らの理論の限界を示してくれた。

とはいえ、ここまで絵に描いたような実際の例を見せられると「ひょっとすると」と思う。

草の根電気自動車」は従来型の自動車とは社会的な使命も、ユーザー層も、業界も全く異なる。つまりこれは既存の「自動車」ではなく、電気というインフラを活用した農村部の新たな移動手段である。現状、技術レベルは高くはない。しかし農村の現実に根ざした実需は急速に拡大している。市場は極めて大きい。このまま自律的な成長を遂げ、政府の政策との整合性がうまく取れれば従来型自動車に代わる一大勢力となる可能性を秘めている。

引用元:「草の根電気自動車」は飛躍できるか~農村から起きる「1マイル革命」

中国の農村では「おもちゃのような安価な電気自動車」が普及し始めているのだそうな。いわば日本の軽自動車のより極端な存在か。近所をちょろちょろはしるためだけの移動手段である。

今までになかった市場に既存メーカーから見れば「おもちゃのような製品」が普及し始める。そしていつしか巨大な既存企業を打倒する、というのが破壊的イノベーションの典型的な道筋である。

日本でも結局電気自動車は農村に向くのではないかとどこかで読んだ記憶がある。Teslaもいいけど、私はこういう「地に足がついたイノベーション」が大好きだ。もう住宅地は最大速度20kmの電気自動車しか走ってはいけないことにしたらどうだろう。公共交通機関が廃止され困っているお年寄りもこれがあれば買いものに行ける。多分住宅地の交通事故も皆無になり皆Happy.

我が国ではほとんど使わない「長距離を快適に移動するための性能」をもった車しか販売できない。しかしそれは無駄なのだ。もうどかん、とこういう変革を起こしたらいいんじゃないかと思うのだが。