Appleの危険なギャンブル
2017-11-13 07:21
事前のリークによって驚きが減ったが、iPhone Xというのはその名が示す通り過去の技術からの大幅な飛躍である。OLED,顔による認証、ホームボタンの廃止、そして全面画面化。
私が普通に考えれば
「新しいものは絶対うまく動かないから一つずつ取り入れよう」
と提案するところ。しかし自分で書いていてこれらの要素がどれ一つとっても切り離せないものであることに気がつく。強いて言えばOLEDくらいか。全画面化はOLEDなしではなりたたない。必然的にホームボタンは廃止となる。唯一妥協ができるとすれば指紋センサーを背面につけることくらいか。しかし彼らはそうした「常識的」な方法を取らず認証方式も新しくした。
その上彼らは思いっきり値段を上げた。
Xの製造コストは8より25%高いものの、販売価格は43%上回っている。
確かにコストは上昇したが、それ以上に販売価格を上げたのだ。彼らは「iPhone Xはプレミアに見合うだけの製品である」と考えたのだ。
その結果がどうなるかは誰にもわからなかった。100万円を超えるApple Watch Editionが誰も気にしないうちひっそりと終焉を迎えたように、Appleの賭けがいつも成功するわけではない。
さらに言えば、iPhone Xが成功するということはiPhone 8の需要減少を意味する。Appleが伝統的に意に介さない「共食い」が間違いなく起こる。
現在iPhone Xにはいくつかの問題が指摘されている。しかし盛り込まれた多数の新機軸から考えればそれは圧倒的に少なく小規模だ。現在までのところ彼らの賭けは許容できる損失の中で成功したように思える。(今後大きな問題が生じる可能性は存在する)今iPhone Xの納期は3-4週間。年末のホリデーシーズンの商機をある程度逃してしまうことも間違いないが、驚くべきことに新機軸をてんこ盛りにしたiPhone Xは実環境下でちゃんと動いている。
これがどれほど非常識なことかは、「高品質」を旨とする日本の家電メーカーが作った「標準的な」スマホがどんな調子だったかを思い返してみればわかる。
ARROWS X LTEを片手に持ったお客様が来店され。
「急に動かなくなったんですけど!」
「再起動を繰り返します!」
「フリーズして、全く画面が動かない!」
「本体が熱くなって、ヤケドしそう!」
「さっきまで電池が90%あったのに、一瞬で0になった!」
という、困って、ちょっと怒っているお客様が、後を立たなくなりました。
いつの間にか誰も「ものつくり大国」などとは言わなくなった。まずこれは最初の一歩だと思う。大日本帝国もそうだが、とにかく仰々しい名前にろくなものはない。まずは圧倒的な製造技術の差異を認め、そこから考えましょう。生き残る方法を。s