先住民族の暮らし
2017-12-01 06:58
先住民族といえば、おそらく多くの人に「素朴な暮らし」「自然と共存」「家族の絆」「われわれが忘れてしまったものをもっている」などのキーワードが思い浮かぶだろう。そこでわれわれ野蛮な侵略民はつねに「悪者」であり「教えられる側」である。
こうした神話がどのように頭に刷り込まれたかはよくわからない。しかし多分現実はそれほど単純ではない。
(CNN) ノルウェーの警察は、北部の小さな町テュスフィヨールで、151件の性的暴行事件を摘発したと発表した。
テュスフィヨールは人口わずか2000人の小さな自治体。警察の28日の発表によると、事件は1953年から今年8月にかけて発生した。151件のうち43件は強姦事件で、うち3件は子どもが被害者だった。40の事件では、容疑者が14歳未満の子どもと性的関係をもったとされる。
被害者82人のうち、最年少は4歳の子どもだった。容疑者92人の年齢は10~80歳。
容疑者も被害者も、ほとんどが「サーミ(旧ラップ)」と呼ばれる少数民族の関係者だった。サーミはスカンジナビア半島北部に数千年前からすむ遊牧民を祖先とする。警察は、昨年6月の地元紙の報道をきっかけとして捜査に乗り出した。事件の背景に民族や宗教が絡んでいた形跡はないとしながらも、サーミでは家族の絆や連帯感が強く、それが「事件についての沈黙を守らせる仕組み」として作用したと見ている。
子供達の運動会では、それぞれが衣装の背中に漢字一文字を書いていた。そこには「絆」という文字が多かったように思う。これは東日本大震災以降だと思うが、なぜ我々は「絆」という言葉が良い意味だと無邪気に信じ込めるのだろう。
最近夏王朝の本を読んでいる。春秋戦国時代にはそれは理想的な仁徳の治世であったことにされた。考古学的発掘の結果はそれが単なる「神話」であったことを示している。こうした
「ちょっと自分たちと異質な、離れたもの」
を勝手に理想化する回路というのは人類の頭のどこかに組み込まれているに違いない。