ABEJA SIX2018に行ったよ
2018-02-23 07:21
昨日の午後、ABJEAという会社が主催のSIXというイベントに行って来た。この会社は創業6年のベンチャーで、画像、動画、音声、センサーデーに機械学習を行なってなんらかの認識結果をだすサービスを提供しているようだ。
時間より早く、基調講演(CEOがしゃべるのだ)の会場につく。すると会場係が山ほど待機しており、問答無用で最前列の席から隙間をあけずぎゅうぎゅう詰めに座らされる。本日満席を予定しておりますというのだが、開始時間が近づいても満席になる気配はない。両脇に巨大な男性がいる状況というのは好きではない。
ちなみに講演が終わったあと、後ろを振り返ってみれば少なくとも1/3は空席だった。二つ目のセッションでもずーっと会場係が「前から詰めておすわりください。ご協力お願いします」と叫んでいる。会場はがらがらなのに。そう叫んでいる若者を捕まえて
「こんなにガラガラなのになぜ詰めて座らせるんですか?いや、あなたに文句を行っているのでなくあなたに指示を出している人に文句を行っているのですが」
といった。気の毒な若者は困惑した顔をしていたが、また同じことを叫び出す。正直いって気持ち悪い。
この気持ち悪さはCEOの基調講演にも共通していた。内容はよくある
「今やAIにより産業革命が起こっています。ぜひ弊社にお手伝いさせてください!」というもの。しかしCEOの必要以上に丁寧な日本語を聞くと日本語の特に敬語はプレゼンに向いていないのではないかと思う。英語なら
Today, we are proud to announce new service.
力強く言い切るところを
「本日から、弊社の新しいサービスをご提供させていただきたいと考えております。こちらがそのサービスの概要になります。」
となる。ああ、気持ち悪い。日本語でももう少しましな言い回しはあると思うのだけどね。
だから基調講演は半分寝ていた。なぜこんなに詰め込まれなくてはならんのだ、と考えながら。3社ほどユーザ企業が登壇したのだが、一社を除いて内容は覚えていない。その1社については後述する。
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さて、二つ目の講演はダイキンのものだった。なんでも故障修理に持っていく部品を最適化したい。そのため故障診断情報から持っていく部品を決定するところにABEJAの技術を応用しようとしている、のだそうな。
話を聞いて「ああ、これはダメなパターンだ」と思う。病気の診断とか故障診断とか、一つ前の「第2次AIブーム」のころから散々やられているが、いまだにものになっていない。理由はいくつもあるが、一番大きなものを上げておく。
「こういう症状が出ています」
というのをお客様から聞いたり、作業員が入力するわけだがそこですでに人間の判断が大幅に介在してしまっている。故障というのは本当にいろいろなパターンがあり、故障診断に熟達した人はいろいろな方法で観察し、症状を記録する。そうでない人は「赤ランプが点滅している」とだけ書く。
入力のところでこれだけデータがばらついているものに、どんな高級なアルゴリズムを適応したところで意味がある結果はでない。古くからのことわざGarbage in , garbage out ゴミを入れればゴミがでるのだ。不幸にしてダイキンの担当者はそこらへんが全く理解できていないようだった。入力の正規化とかいろいろ工夫をしております、とか言ってるけど、そんなことやったって無駄だよ。
しかしここに困惑する事実がある。この日私の記憶に残っている事例紹介は武蔵精密工業、ダイキン、コマツの3社。そして3社ともまだ成果がでていない。なのに彼らは登壇して何か喋っている。ABEJAはこんなイベントを無料で主催するほど儲かっている。これはどういうことなのか。ちなみに武蔵精密工業は、検査のところに画像認識技銃を応用しよとして「文系の社長」いわく「成果がでる一歩手前」まで来ているとのこと。社長がそういうということは、まだまだ先は長い、ということである。
こういう「なんとかブーム」が起きた時にどう対応するかは、企業の力量によって様々だ。一番多いパターンが「偉い人がAI使って何かやれと言っている」と担当者が困り誰かに泣きつくパターン。これはABEJAのような企業にとってはカモである。ダイキンはその典型的なパターンに見えた。
もう一つは「その新しい技術は何ができて、何ができないのか」をちゃんと見極めた上で自社にどういかせるのか考え、その上でABEJAのような会社に依頼するパターン。こちらは商売の上でうまみはないが、実際に現実と対面しているエンジニアがハッピーになれるパターンである。これは別の機会に書くがコマツはこちらのパターンだ。
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セッションを聞いた後に、ABEJAの人と軽く話をする機会があった。相手は非常に素直な若者で、私がここに書いたことを真面目に聞いてくれた。この日よかったのは、コマツのプレゼンとこの担当者との会話だった。
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無料で面白い話を聞かせてもらったので、お礼にABEJAのCEOに一ついいことを教えてあげよう。