地図の持つ意味

2018-07-02 07:01

先週このようなニュースが流れた。

われわれは新しいマップ開発のために専任のチームを結成した。プロジェクトがスタートしたのは4年前になる。機械学習からマップデザインまで広汎な分野の人材を集めた。このプロジェクトでは全世界で数千人が働いている。ここ、シリコンバレーだけでなく、シアトル、オースティン、ニューヨークなどにも多数のメンバーがいる。ベルリン、パリ、シンガポール、北京、マルメ、ハイデラバードなど他の国、都市でもそうだ。 

引用元:Apple、マップの完全リニューアルを準備中――編集長が読者の質問に答える | TechCrunch Japan

これは驚くべき発表である。地図データを開発し維持することは簡単ではない。だから多くの会社は他の会社のデータに頼る。日本の地図ならゼンリンとかだ。

なのにAppleはそれを全て自前でやろうとしている。これはとんでもないことだ。GoogleがMapだの衛星写真だのストリートビューを無料で公開し出した時には「変わったことをするなあ」と思った。まさかAppleが同じことをやって張り合うとは思っても見なかった。

なぜこんなことをするのか?ゼンリン地図でいいじゃないか。そこには何かAppleが理解しており、私が理解していない理由があるに違いない。

Appleが利用しているコンピューター・ビジョン・システムは店舗や会社の名前を完璧に読み取る能力を備えている。だから各種ビジネスにも大きな影響があるものと思う。

引用元:Apple、マップの完全リニューアルを準備中――編集長が読者の質問に答える | TechCrunch Japan

おそらく鍵はここにある。店舗や会社名を含めた「実世界」のデータ化をすることにより、彼らはiPhone、しいては未発表のARデバイスの価値を高めるつもりなのだ。

このような戦いになると、日本のメーカーは手も足も出ない。Toyota 様など十年以上も前にこのようなプロジェクトをスタートさせてもよかったはずだ。彼らはモビリティカンパニーなのだからそのベースとなる地図データを自分たちで握るのは当たり前のこと。なのに今のところそのような噂は聞こえてこない。

地図プロジェクトの大部屋やって、ゼンリンとか下請けを詰めていれば仕事をしたと思っているのだろう。いや、こんなこと書きながら、トヨタ様には期待をしているんですよ。私が不明を恥じるようなすごいプロジェクトをどん、と打ち上げてくれることを。