イノベーションを阻むもの
2018-09-04 07:07
面白い文章があった。同意できるところとそうでないところを交えつつ紹介したい。
筆者が編集長を務める、企業のイノベーション・チーム向けオンライン情報サービス『イノベーション・リーダー』では、2018年前半、大企業に多く見られるイノベーション阻害要因に関するアンケート調査を実施した
引用元:大企業のイノベーションを阻む5つの要因 | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
この後アンケート結果とそレに対する考察が続く。私が考えるところではここであげられている「イノベーションを阻む要素」はお互いに関連しあっており、独立事象ではない。だから個々について考察することは意味がない。しかし次の文章を読んでみよう。
大企業の文化は往々にして、オペレーショナル・エクセレンスと安定成長を基盤に成り立っている。そうした組織において、変革が大歓迎されることは、ほぼない。
引用元:大企業のイノベーションを阻む5つの要因 | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
これは滅多に強調されることはないが、重要な事実である。端的に言えば
「世の中には新しいことを絶対にやらない、ことで商売している企業がたくさんある」
のである。三菱重工はその筆頭だろう。三菱重工は動きが鈍い。価格も高い。態度も横柄だ。なのになぜ仕事を頼まれるかと言えば
「硬い仕事をする」
から。つまり誰も三菱に画期的な新製品なんか期待していないのである。そしてそういう企業は三菱だけではない。多分世の中の仕事の9割はそういうものではないか。ほとんどの場合誰も変革なんか望んでいないのだ。
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さてこの調査はアメリカで行われたようだ。というわけで思わず微笑まざるをえない以下の文章を読もう。
航空宇宙産業やテクノロジー関連の大企業にとって、予算の枠がイノベーションを阻む要因にはならない。これらの業界では、過去数十年をかけて社内に構築した強固な研究開発体制があり、会社を優位に立たせる新規事業のアイデア創出が常に奨励されているからだ。
引用元:大企業のイノベーションを阻む5つの要因 | HBR.ORG翻訳マネジメント記事|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
テクノロジーについては同意するが、航空宇宙産業の前には「アメリカの」をつけるべき。日本の航空宇宙産業が「会社を優位に立たせる新規事業のアイディア創出を奨励する」とか冗談としか思えない。日本の航空宇宙産業で競争相手より優位に立とうと思えば
「防衛省の天下りを優遇する」
「防衛省担当部署専門の対策チームを置く」
とかそんなのばっかりだから。
私がその昔「航空宇宙産業で働きたい」といったら、アメリカかカナダ帰りの従兄弟が「飛行機作りたいならボーイングがいいと思うよ」と言った。私はその言葉を「そうだねえ。できたらいいねえ」と一笑に付したが、いまになってわかる。彼はとても正しかった。私はとんでもないアホだった。
先日新潟大学開発のドローン駆動用のガスタービン発電機の展示を見た。話を聞けば、イスラエルから「軍事用に使いたい」と打診があったとのこと。三菱重工がそんなことをやるとは想像すらできない。しかしあれだよ。航空宇宙産業がそうした「官の対応競争」をしているのはいいことだと思う。日本が戦争をしない国であることの証明だから。