再生可能エネルギーを考える上で必要なたった一つの知識
2018-10-22 07:01
なぜこれを学校で教えないのか、理解に苦しむ。娘はエネルギー問題についてならい「原発ってむちゃくちゃあぶない」とならってきた。問題は「全部自然エネルギーにすればいいんじゃね?」が(少なくともここ数十年は)成り立たないのか?という点にある。
「電気は貯めることが(ほとんど)できない。使う分だけ供給しなくてはならない」
問題はこれだ。いいんだよ。風が止まって曇った日には皆電気なしで暮らしましょう!緊急手術が必要な人はみなそういう日には死ぬけど原発を動かすよりマシだ、と言ってくれるのならば。
風力発電ブームがもたらしたのは、供給と需要のミスマッチという予期しない問題だった。ドイツでは風力発電所は常に強い風が吹く北部に集中しているが、大規模な工場の多くは南部にある(南部に集中する原発は次々と運転を停止している)。
北部の風力発電所から南部の工業地帯に電力を送るのは容易ではない。風が強い日には、風力発電所は大量の発電が可能になるが、電力はためておくことができない。供給過剰になれば送電線に過大な負荷がかかるため、電力系統の運用者は需給バランスを維持しようと風力発電所に送電線への接続を切断するよう要請する。こうなるとツアー客が眺めた巨大なブレードも無用の長物と化す。
一方で、電力の安定供給のためには莫大なコストをかけてバックアップ電源を稼動させなければならない。ドイツでは昨年、こうした「再給電」コストが14億ユーロにも達した。
この記事には明らかな嘘がある。需要と供給のミスマッチが「予期しない問題」だったわけがない。事実と計算からそうした問題を指摘する声を「自然エネルギー万歳!」という声が打ち消したのだ。それは
「アメリカと戦争すれば負けますよ」
という事実と計算に基づく声を「鬼畜米英」が打ち消したのと同じように。
九州電力では、太陽光発電の発電量が多すぎて出力を制御している。これとて「予想できた問題」ではなかったか。