単純さを好む理由とは
2018-11-22 07:06
はてなブックマークという仕組みがある。皆が自分が気になったWeb上野情報に印をつけ、かつコメントを残せるというものだ。
最近それを読むとげんなりすることが多い。いや多分Twitterでも状況は同じなのだけど。
ゴーン逮捕はアベの陰謀だ説の人と、ゴーンと安倍は友達だから安倍も逮捕だ説の人がいて、リベラルの中の人も混乱している様子が伺える。
引用元:araichuuさんのツイート
ゴーンくんの逮捕についてついているコメントは多くがこの類だ。全てアベの陰謀だとか、日本終わったなとか。
そうしたコメントを見ていると
「つまり問題はこれなんだよ」
と単純化したい、という大きな願望を感じる。この問題の根本はこれです。以上。そう言い切ると自分が頭がよくなったような気がするのだろうか。とはいえこうした「問題は」と単純化するのは我が国の十八番というわけではない。
高犯罪率時代にほとんどの専門家は暴力犯罪への対処策はないとしていた.それはアメリカの暴力社会に組み込まれており,その根源原因である人種差別,貧困,不平等を解決しない限り犯罪を押さえるのは不可能だと彼等は主張した.この歴史的悲観主義は「根源原因主義」とでも呼ぶべきもので,それは「すべての社会的な疾病は何か深いモラル問題の表れであり,このコアを治療しない限り解決できない」という誤った認識だ.現実世界の問題は単一の根原因に帰せられるようなものではなくもっと複雑なのだ.
全ては貧困、不平等、人種差別が原因。アメリカ終わったな、というやつである。しかし年をとるたびに実感するのだが、現実はそんなに単純ではない。引用先を読んでもらうとわかるが、貧富の格差が広まった時期に、犯罪率が低下しているという事実がある。
とはいえ
ワン・フレーズ・ポリティクスという言葉もあるくらいで、「郵政民営化すれば何もかも解決です!」みたいな言説は政治の世界では人気がある。つまり人間は単純な断言に惹かれる傾向があるのだ。これがどう役立っているのかはわからないが。