失敗についても記録しよう
2019-01-21 07:33
何か「新しい技術」を取り入れた試みを行う。すると大きく報道発表される。運が良ければTVの取材を受けるかもしれない。その分野での講演会で喋ってくれ、と言われるかもしれない。
しかし
「新しいものは決してうまくうごかない」という原則が存在する。宣伝はしたもののロクに動かない。まっさきに現場がその技術に背を向ける。何度か無駄なやりとりがあったあと忘れ去られる。しかし最初に華々しく発表したリリースだけは残っている。
これはとてもよくあることだ。しかし後に続く人にとって重要なのは「その結果はどうだったか。失敗したとすればその原因はなんだったのか」だ。かつて「第5世代コンピュータ」という巨大なプロジェクトがあった。そして惨めな失敗に終わった。しかし今その失敗について学ぼうとしても何も残っていない。「教授がたくさんできたから成功」とかいう大本営発表があるだけ。
だからこの失敗もここに記録しておこうと思う。
ロボットの世界をさらに楽しむ
変なホテルのロボットが皆さまをお出迎えしたあとは、ハウステンボスのロボットの王国へ。 ロボットが調理するレストランやロボットのステージショーなど、最先端のロボットの世界を楽しもう。引用元:変なホテル
人間を全部ロボットで置き換える、という目標をかかげた変なホテルは結局省力化どころか、より人間への負担を大きくした。結果どんどんロボットがリストラされているんだそうな。
Robot Hotel Loses Love for Robots
The robot revolution will have to wait at the Henn na Hotel in Japan, which is laying off low-performing droids
上記文章の次には「ホテルにとまったら、一晩中”すいません。聞き取れません”というロボットの声に起こされ続けた。いびきに反応していたようだ」という宿泊客の悪夢が紹介されていた。
こういう失敗は広く共有されるべきだ。そうすれば少なくとも「人工知能が人間をもう置き換えているんだお」と無邪気に語る人たちの2%くらいには届くかもしれない。
東大の松尾准教授は3年前こう高らかに宣言していた。
このチャートによれば、今は2019年だから人工知能は従来「難問」と言われていたシンボルグラウンディングを解決し、知識獲得も研究室レベルでは解決済み。あと2−3年で教育、秘書、ホワイトカラー支援が実用化されるとのこと。
だったら変なホテルはちょっと急ぎすぎたのかもしれない。あと1年くらいがんばって、松尾准教授に「先生の言うことを信じてがんばりました!」と損害賠償を請求するべきだったと思うのだが。
私は松尾准教授のこの詐欺的「将来予想」も注目されるべきだと思っている。変なホテルはロボットをリストラしているらしいが、松尾氏はまだ人工知能芸をやめない。過去に自分がデタラメを言ったことは棚に上げてだ。このことについては項を改めて紹介したい。