人工知能に奪ってほしい仕事
2019-02-28 07:03
センセーショナルな見出しは常に「アクセス数」を集める。だから本気でそう考えていようがいまいが
「AIにより職が奪われる」
と書きたい気持ちはわかる。
しかし 多少なりとも現実を見つめたいと思うのならば、世界最高峰のAIに関する実用化、研究を行なっている企業を支えるため、過酷な労働に従事せざるを得ない人々に目を向けるべきだ。
引用元:Verge
Facebookが人工知能技術の成果を声高に語ろうとも、違反とレポートされたコンテンツの検閲は依然として人手に頼らざるを得ない。そうした「労働集約型」の仕事にFacebook自身は手をださない。下請け企業の一つ(?)がArizonaにある。以下記事の内容によってその様子を記述する。
Facebookの平均的な社員の年収は $240,000(日本円で2500万円)対してコンテンツの検閲を行なっている人たちの年収は300万円ほどである。これでもArizonaの最低賃金より、時間あたり$4高いし、ほとんどの小売業で働くより稼ぐことができる。
ある訓練生は三週間半のトレーニングの後あるタスクを課せられた。同僚の訓練生が見ている前でコンテンツを検閲する。映し出された映像は男が何度も刺されるもの。男は悲鳴をあげ命乞いをしていた。この動画の何がFacebookの規約に違反するかを述べるのが訓練だった。
こうした訓練を経て社員になったとする。仕事はこうしたコンテンツをひたすら閲覧し検閲の対象となるか判断すること。その結果PTSDのような症状を示す、あるいは検閲の対象となるべき陰謀論、地球は平らだという説を信じ始める人がでてくる。精神的ストレスから職場でマリファナを吸う人も多い。
記事に出てくる人の何人かは1年で仕事を辞めている。
機密保持の点から彼らと彼女たちは仕事場でスマホはおろか、紙を持ち込むことすら禁じられている。「品質」は常にモニターされており成績が規定を下回ると解雇。映像および文字情報を閲覧し、問題の有無を判断する、という点を除いてはまさに機械部品のように扱われている。
この人たちがやっているのは、最近人工知能と呼ばれるものが一番得意なはずの「パータン認識」。であれば人工知能はこうした仕事こそまっさきに「奪う」べきではないのか。
あたかも「人工知能」が人間の仕事を奪うことを前提としてあれこれの議論にふけっている(ついでにそれで結構な収入を得ている)人たちは、この現実をどう説明してくれるのだろう。
5年以内の短期的では、各分野、特に法律や医療、会計、税務などのデータに基づく、かつ現在多くのコストが支払われている分野でビッグデータ化、人工知能化が進み、一部の作業が自動化されていくでしょう。
5〜15年の中期的では、いまは監視員や警備員などが担っている監視系業務、商品の数を数えたり店の売り上げをエクセルにまとめるなどのルーティーンワークがコンピュータによって置き換えられ、ひとはよりクリエイティブな仕事に専念できるようになります。引用元:人工知能に仕事を奪われる前に!今から学習すべき3つのテーマ | 未来を変えるプロジェクト by パーソルキャリア
肩をすくめて、「こんなのは過渡的な事象にすぎない」とでも嘯くつもりなのだろうか。